【何が…】防弾チョッキに代紋バッジ…大阪・ミナミのマンションの一室が山口組直系“隠れ組事務所”に 『特定抗争指定』による事務所立ち入り禁止の中…捜査員が語るヤクザの事情
「防弾チョッキ」に「儀式用の杯」、そしてひし形にかたどられた「六代目山口組の代紋バッジ」―。これらが置かれていたのは組事務所ではなく、一般の住民が暮らすマンションの一室だった…。
大阪府警は11月26日、大阪・ミナミのマンションの一室の“隠れ組事務所”に立ち入ったとして、特定抗争指定暴力団の山口組直系組織の幹部ら4人を逮捕した。山口組は、暴力団対策法に基づく特定抗争指定の警戒区域である、大阪市内などの事務所への立ち入りが禁じられていて、同容疑での摘発は全国で初めてだという。
■暴力団組員がマンションに…“隠れ組事務所”を確信
「やはりな…」。今年6月、長期間にわたって暴力団組員の行動を追っていた大阪府警本部刑事部「捜査四課」の捜査員は、マンションの部屋に捜索に入った際、組事務所として使われていることを確信した。
暴力団対策法違反の疑いで逮捕されたのは、山口組直系「兼一会」の幹部、近藤英二容疑者(54)=群馬県高崎市=ら4人。捜査四課によると、近藤容疑者らは今年6月、大阪・ミナミのマンションの一室の組事務所に立ち入った疑いがもたれている。
山口組は2020年、神戸山口組とともに、特定抗争指定暴力団に指定されて以降、警戒区域の大阪市内などの事務所への立ち入りを同法で禁じられていて、マンションからわずか100メートルほどの場所にある本来の兼一会の事務所は事実上、閉鎖されている。
そこで近藤容疑者らはこのマンションの一室を、“親分”の退避場所などとして使うための“隠れ組事務所”にしていたとみられていて、捜査では4人が時間を空けて別々に部屋に入り、一定時間滞在したあと、また別々に出ていく様子が確認されたという。
■10畳ほどの部屋に防弾チョッキや大量の代紋バッジ、儀式用の杯まで…
部屋は10畳ほどの「1K」で、中からは防弾チョッキやトランシーバー、大量の山口組の代紋バッジのほか、兼一会のゴム印や、儀式用の杯、破門状、他の組織から兼一会宛てに送られた挨拶状などが見つかったという。
警察は4人の認否を明らかにしていない。
ただ、ある捜査幹部は「ヤクザは何かあれば結集しないといけないから、本部事務所の近くにいないといけない」と話し、他にも“隠れ組事務所”が大阪市内に設けられている可能性があるとみて警戒を強めている。