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【突然】家賃の値上げ通知に悲鳴!「月2万円は上げ過ぎじゃない?」 家賃“最高値”更新の背景にはいったい何が?急激な賃上げに対し法的問題はあるのか?

2024年12月25日 16:00
【突然】家賃の値上げ通知に悲鳴!「月2万円は上げ過ぎじゃない?」 家賃“最高値”更新の背景にはいったい何が?急激な賃上げに対し法的問題はあるのか?
家賃が最高値更新 その背景は…?

 家賃が過去最高値を更新し、その値上げ額にSNSからは悲鳴が上がっています。最高値更新の背景には、いったい何があるのか?また、急な賃上げに対し、法的問題はないのでしょうか?元検事・亀井弁護士の解説です。

■各地で家賃が最高値を更新 突然の値上げ通知にSNSでは悲鳴も「月2万円は上げ過ぎ」「8000円上がるなら、違う家って選択肢も出てくる」

 今、家賃が最高値を更新中だといいます。2024年10月、マンションの平均賃料は30平方メートル以下のマンションで、東京23区は9万4581円で、前年比+3.7%の最高値です。同じように埼玉は6万3548円で前年比+4.0%、大阪市は6万4418円で前年比+3.4%、福岡市も5万3333円で前年比+3.5%で最高値更新となっています。

 突然、値上げ通知が来るというケースも多く、SNSではこんな声が…

(SNSの声)
「家賃の値上げ通知が来たが、月2万円は上げ過ぎじゃない?」
「更新時に、家賃1万円値上げするって通知来た」
「予想はしてたけど、家賃更新のタイミングで値上げの通知が…しかも10%の爆上げ」
「ついに家賃値上げ通知が来た。8000円上がるなら、違う家って選択肢も出てくる」

 家賃値上げの背景ですが、まず敷地内の清掃代や共用エリアの電気代が増えています。そしてオートロックなど壊れたドアの修理代や、地価が上がり固定資産税が増えていることが理由だといいます。住宅ジャーナリスト・榊淳司氏によると「2年に1回は家賃の見直しをお願いしたいのが貸主側の本音だろう」と話しています。

Q.地域によって違うかもしれませんが、東京の賃貸マンションなどは、2年に1回更新することもありますよね?
(津田塾大学・萱野稔人教授)
「更新のときに1か月分家賃を払うみたいな慣習が残っている所もあります。契約書の中で『更新時に家賃を上げる可能性があります』と、ちゃんと書いてある場合もあります」

■一方的な賃上げは法的問題になるのか?貸主側が「請求権を行使したら、賃料が上がる形になる」 家賃増額に納得できない場合は話し合いも…

 家賃の値上げは、法的に問題はあるのでしょうか。『借地借家法』で家賃を値上げする場合の条件というのが定められています。

 『土地・建物に対する税金などの負担が増』『経済事情の変動(土地・建物の価値の上昇など)』『近隣の同じような物件の家賃よりも安い』、これらに当てはまれば、法的に問題はないとのことです。ただ、これらは『値上げをしないなどの内容が契約書に書かれていない場合』としています。

(元検事・亀井正貴弁護士)
「賃料の増額の提案をした場合には、両者合意なのでいいですが、『賃料増額請求権』という権利があります。請求権を行使したら、賃料が上がる形になる。ただ、そこは争えるので、それで決まるわけではないですが、増額請求すれば、一応、確定するという話です。家賃値上げの通知時期についての法律はない」

Q.家賃について交渉するのは何の問題もないのでしょうか?
(亀井弁護士)
「交渉自体に問題はないです」

 そして、家賃増額に納得できない場合は、話し合いの場を作ることになります。話し合いの場では、『値上げの理由となる資料などを見せてもらう』または『段階的な値上げなどの交渉』を行っていきます。ただそれでも、まとまらなければ、簡易裁判所に調停申し立て、訴訟へ移行する可能性もあるといいます。

Q.貸主側が突然「家賃が払えないなら出ていけ」と契約解除することはあるんですか?
(亀井弁護士)
「賃貸借契約の解除の場合は、まず賃料が基本的な義務ですから、例えば、借主が3~4か月賃料を払わなければ、解除の可能性は高まります。それ以外の事情で契約解除する場合には、貸主側の正当理由のハードルが高くなります」

Q.借主側が話し合いに応じなかった場合は、どうなりますか?
(亀井弁護士)
「例えば、貸主が家賃を10万円にしたいと言っていて、現在の家賃が8万円だった場合、8万円を供託し続けていきます。貸主が勝手に2万円を上げたので、この2万円分が不払いだからといって、契約解除まで至ることは、ほぼないと思います」

 さらに裁判になった場合の注意点ですが、借り主側が裁判で負け、家賃増額が認められた場合、『家賃との差額』と『年1割の利息』を支払う必要があります。

 例えば、借り主側は現在、家賃5万円で住んでいて、貸主側は家賃を6万円にしたいという中で裁判になったとします。1年後、借り主側が敗訴した場合、家賃の差額1万円×12か月分+利息1万2000円(年1割)で13万2000円の支払いになります。

Q.実際にここまでの支払いになった例はありますか?
(亀井弁護士)
「判決までいった例はないです。裁判はありますけど、和解でまとまるケースの方が多いです。鑑定でどのぐらいの賃料が相当かという意見書が出てきますので」

Q.当事者同士で話し合う場合、多少お金がかかっても、弁護士を立てたほうが穏便にいく可能性もあるということですか?
(亀井弁護士)
「そうですね。ただ調停の場合には本人でもいけますから、弁護士料払わずに本人でやるという手もあると思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年12月12日放送)

最終更新日:2024年12月25日 16:00
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