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【詳細公開】兵庫・斎藤知事 “おねだり”や“パワハラ”疑惑 職員アンケ公開で新証言続々…知事は「伝聞多い」と反論も

2024年8月24日 8:00
【詳細公開】兵庫・斎藤知事 “おねだり”や“パワハラ”疑惑 職員アンケ公開で新証言続々…知事は「伝聞多い」と反論も
兵庫県・斎藤元彦知事

 兵庫県の斎藤知事の“疑惑”をめぐって実施された百条委員会による県職員対象のアンケート調査の中間報告が、23日に公開されました。アンケートには、職員の約7割にあたる6711人から回答、中間報告では約4500人分の回答が集約されました。

 斎藤知事については、死亡した元局長が文書で、贈答品を受け取っていたとする“おねだり”疑惑や、職員へのパワハラ、優勝パレード開催資金の“還流”をめぐる疑惑を指摘していましたが、今回のアンケートでは更なる“新証言”が次々と明らかになりました。

■①“おねだり”疑惑 カニ・牡蠣・海苔・播州織ネクタイも? 知事は「県産品は県として受け取った」と反論

 今回のアンケートは「A:実際に目撃・経験した」「B:目撃者・経験者から聞いた」「C:人づてに聞いた」の3つから回答が選べるようになっています。

 斎藤知事が贈答品を受け取っていたとする「おねだり疑惑」について、「A:実際に目撃・経験した」と答えた人は43人で、A~Cを合わせると「知っている」と回答した人は約2割でした。

 自由記述欄で「A:実際に目撃・経験した」と答えた中には、
 
 ▼「数人で両手に抱えるほどのお土産をもらっていた」
 ▼「イベントで『淡路島の玉ねぎを欲しい』と発言していた」
 ▼「旅費の規定を超える高級旅館に泊まりたいと言い、実際に泊まった」
 ▼「お土産がもらえると機嫌がよくなるので、担当者が事前に依頼し、自腹で会計をすることもある」

などと、新たな疑惑が記されていました。

 また「B:目撃者・経験者から聞いた」と答えた中では

 ▼「カニのお土産を職員がもらえないと固辞したら、『いらないのなら私がいただく』と、職員の分まで持って帰った」

という証言のほか、牡蠣や海苔、播州織ネクタイなどの県産品を持って帰ったと聞いた、という証言が複数あがっていました。

 

 贈答品にはあたらないものの「A:実際に目撃・経験した」として、

 ▼「茶菓子を躊躇なく全て持ち帰っていた。周囲の随行者に対し、ルーチン作業のように持ち帰るよう指示していた」
 ▼「地元特産品のPRにあたり、マスコミの写真用に用意した品々を全て持ち帰った」

という回答もありました。

 これに対して斎藤知事は22日、「アンケートの内容をしっかり確認した上でコメントさせていただきたい」と述べた上で、「前知事時代から県産品の受領はあった。社会通念上の儀礼の範囲内で受け取っている。県産品については、あくまで県として受領したもの」と説明。また、高級旅館への宿泊については「県の規定を超える(宿泊料の差額)分は、個人で負担している」と反論しました。

■②“パワハラ”疑惑 約4割の職員がパワハラ「見た・聞いた」 斎藤知事は「詳細な内容を承知していない、コメントは差し控えたい」

 斎藤知事のパワハラについては、「A:実際に見た・経験した」と回答したのは59人(1.3%)「B:目撃者・経験者から聞いた」、「C:人づてに聞いた」と回答した職員を含めると、38.3%にのぼることが分かりました。

 中間報告には、「A:実際に見た・経験した」意見として、

 ▼「資料を投げ返した」
 ▼「机をたたく」
 ▼「在庫がないと断ったのに『新品のポロシャツをすぐに持ってこい』という強い指示があり、対応に窮した」
 ▼「知事が1泊する際、『持参するシャツがシワになるのは嫌』と言って、カバンにしまわず職員に手で持ってこいと指示をしていた」

などの具体的なエピソードが記載されています。

 また、斎藤知事は職員の間で、「瞬間湯沸かし器」・「暴君」、などと呼ばれていたということです。

 20日の会見で斎藤知事は、「激高する」という自身の性格について、「職員を厳しく指導したことはあるが、業務上必要なことだった」と話しました。

■③優勝パレード開催資金"還流"疑惑 急に集まった開催資金と補助金増額の経緯

 7月に死亡した県の元幹部が残した告発文書では、2023年11月に神戸市で行われた阪神・オリックス優勝パレードの開催費用をめぐり、金融機関に補助金を増額することを見返りに、開催資金を寄付するよう求めたとされています。また当時、優勝パレードを担当していた部署の元課長が4月に死亡していることが明らかになっていて、関係者によると自殺とみられています。

 優勝パレードにかかった運営費は5億円余りで、県は当初、全額を「寄付」で賄うとしていました。しかし、パレードの2週間前まで総額の1割程度しか集まらず、資金集めに苦労していました。ところが、その後の約2週間で4億円余りの寄付が集まったことが判明しています。

 読売テレビの情報公開請求により県が開示した資料によれば、去年12月に組まれた補正予算では当初、各金融機関が抱える融資先のうち「これまで支援されてこなかった企業の数」のみを計算し、総額1億円の予算が提案され、知事が一旦、承諾したとされています。

 しかしその後、斎藤知事の片腕だった片山安孝副知事(当時)が「すでに支援した企業」についてもカウントの対象に入れるなどの変更を指示。企業数は1000社から4000社へと約4倍に増え、金融機関への補助金の総額は4億円に跳ね上がりました。

 補助金との因果関係は明らかになってはいませんが、片山副知事が補助金の増額に関する指示を出した翌日以降、県内にある11の信用金庫が続々とパレードの開催資金を寄付しています。

 一方、斎藤知事は8月7日の会見で、疑惑について「前年までの補助額から大幅に減額するのは好ましくなく、事業をソフトランディングさせるための判断で、適切に処理した」と説明しています。

■④"還流"疑惑に「資金が突然集まった」・「裏技使った」・「斎藤知事が指示」…証言続々

 阪神・オリックスの優勝パレード開催資金の”還流”疑惑について、中間報告ではA~C合わせて8.9%にあたる405人の職員が、「見た・聞いた」と回答しました。

 自由記述欄には、Bの「目撃者・経験者から聞いた」話として

 ▼「寄付が集まらないことに対して補助金で補填するという裏技を使った、と聞いた」
 ▼「強引にキックバックさせるように知事が指示を出した、という話を聞いた」
 ▼「信用金庫の知人から今後の補助金の受給のため断れなかった、と聞いた」
 ▼「担当課の職員からパレードのお金に関してかなりやばいことをしている。こんなことやってられない、という話を聞いた」

など、疑惑についての証言が多く寄せられています。

■アンケート中間報告の結果

●贈答品の”おねだり”疑惑について
①目撃(経験)等により実際に知っている:0.9%(43人)
②目撃(経験)等により実際に知っている人から聞いた:3.5%(160人)
③人づてに聞いた:16.3%(743人)
合計 20.7%(946人)

●知事のパワーハラスメントについて
①目撃(経験)等により実際に知っている:1.3%(59人)
②目撃(経験)等により実際に知っている人から聞いた:10.2%(466人)
③人づてに聞いた:26.8%(1225人)
合計 38.3%(1750人)

●阪神・オリックス優勝パレード開催資金の還流疑惑について
①目撃(経験)等により実際に知っている:0.1%(3人)
②目撃(経験)等により実際に知っている人から聞いた:0.9%(40人)
③人づてに聞いた:7.9%(362人)
合計 8.9%(405人)

※アンケートの記述の中には、人づてに聞いた内容も含まれていて、百条委員会は内容を精査する方針です。

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