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【台風10号】週末に近畿地方に最接近 「迷走」「停滞」する可能性も 暴風や記録的な雨に警戒を

2024年8月29日 19:02
【台風10号】週末に近畿地方に最接近 「迷走」「停滞」する可能性も 暴風や記録的な雨に警戒を

(解説:蓬莱大介 気象予報士)

 台風10号の進路予想を見ていきます。

 あす30日(金)午後3時の時点で、ようやく九州を抜けます。ということで、近畿地方は30日(金)の午後から台風が次第に近づいてきて、雨風は、きょうよりは強くなってきそうです。

 その後の進路を見ていくと、31日(土)の午後3時になると、瀬戸内海を通る進路と太平洋側を通る進路でブレ幅は出ますが、近畿地方の中部や南部にかなり接近します。予報へのちょうど真ん中を通ったとすると、和歌山県のあたりに午後3時に来る予想です。その時の強さが990ヘクトパスカル。最大大風速20メートル。瞬間的には30メートルなので、ギリギリ台風という勢力ですね。

 ただ厄介なのは、31日(土)の午後3時に近畿地方に来た時に、そのままスッと東の方へと進んでいってくれればいいんですけれども、もしかするとここで複雑な動きをして停滞する可能性もある。迷走する可能性があります。その先の進路予想を見てみると、31日(土)の予報円が出た後、1日(日)の予報円が同じところで重なりましたよね。31日(土)、1日(日)、同じようなところで停滞する可能性があります。2日(月)、3日(火)と予報円がかなり大きいので、今回の台風に関しては、2日先までは割と確度が高いですが、3日、4日、5日先に関しては、最新の予報をこまめに見ていただいた方がいいと思います。

 なぜ近畿地方のあたりで台風が迷走するかというと、一言で言うと、上空の流す風がないからです。台風自身の風の回転というのはあるんですが、例えば偏西風の風が吹いてますが、そういう風に台風が乗れば、すっと進むのですが、今、偏西風の風が北海道ぐらいに吹いているので、四国や近畿地方のあたりからは遠い。流す風がない。北から高気圧が張り出してきて、高気圧の縁の北風、時計回りなので北風。太平洋からも高気圧が張り出してきて、時計回りなので、こちらは南風。北風と南風が近畿地方のあたりで台風に影響するので、どっちに行っていいかわからないというような複雑な動きをするのが31日(土)。

(Q、最強クラスと言われていますが…)

 近畿地方に接近するときのタイミングの強さは、990ヘクトパスカルで、最大瞬間風速30メートル。ギリギリ台風の勢力を維持している状態なので、最強クラスではないです。ただし、最大風速30メートルの台風が近畿地方をウロウロされますと、台風のやや強めの風がずっと吹き続けることになるので、今回の台風は、いまどこにいるの?というような状態になりそうなのが、31日(土)です。

 レーダーを見てみます。
 もう一つの台風のポイントは、現在台風の中心地は九州にありますが、台風の進行方向の前面は南風が吹いています。それで四国や奈良県のあたり、そして関東、東海地方で雨が激しく降っています。つまり明日から台風がゆっくり近づいてくるんですが、進行方向の前面で湿った空気が入りますから、雨雲は発達する恐れがあります。
 いま奈良県で雨が降っていますが、これ南から北に雨雲が流れていくのを計算すると、この後、京都府や滋賀県で雨が激しく降る可能性があります。
また徳島県や香川県の発達した雨雲は、兵庫県の西部、姫路、赤穂方面に流れ込んできます。この後、雨雲が降ってきて雷を伴う可能性がありますので、兵庫県や京都府、滋賀県の方は特にこの後気をつけてください。

 続いて、雨雲予想を見ていきます。
これが明日30日(金)の朝6時の時点、まだ台風が九州北部あたりです。
動かしますと、台風が中心から離れていても南からの湿った空気の影響で近畿地方は南部を中心に雨量が多くなりそうです。近畿の北部や中部は、あまり雨雲がかからずコンピューター上では隙間になっていますが、明日の朝から夜の7時にかけては、また急に雨雲が流れてくる可能性がありますから、変わりやすい天気となりそうです。
 明日30日(金)の夜7時以降を見ていくと、明日の夜から台風の湿った空気の影響で、近畿の北部、中部、南部ともに雨が激しく降る可能性があります。
 これが31日(土)の朝の時点です。台風が大阪あたりに来た場合の、近畿の北部、中部、南部の予想です。ただ、台風の中心が太平洋側に来た時には、もうちょっとこの雨のエリアは下がってくる可能性はあります。
 明日の朝6時以降を見ていくと、お昼ぐらいまでは各地、雨がかかります。この先の雨ですが、台風が東の方へと進んでいけば、次第に雨は止んできます。ただし、今回台風が、もし迷走しだすと、この雨のエリアは31日(土)の午後まで長引く可能性がありますので、今回は最悪のケースを一応想定しておいて、31日(土)の午後までは雨が降る可能性はあると思っておいた方がいいでしょう。

 続いて、風の予想です。
 明日の朝9時、動かしますと、今日よりは風強いです。オレンジ色は最大瞬間風速20メートルぐらい。兵庫県や、和歌山県は南風が強まるでしょう。
夜になると、もっと風が強まります。台風が近づいてくるから。赤いところは警報級の風と考えてください。強い南風です。大阪市内に関しては、夜まではおそらく注意報ぐらいだと思います。
 その後、31日(土)の朝6時。台風の中心地が淡路島あたりを予想していますが、もちろん位置が変わる可能性は考慮しておいてください。日本海側は台風に向かう北風。太平洋側は南風または西風。30日(金)の真夜中に、大阪も大阪湾からの強い風が吹く可能性がありますから、九州ほどではないですが、近畿地方でも飛ばされやすいベランダのものを念のために片付けておくなどはしておいた方がいいでしょう。

 大雨情報です。
 明日30日(金)、多いところで近畿南部で200ミリ。中部、おそらく滋賀県や奈良県、和歌山県になってきますが、多いところで150ミリ。31日(土)は台風が近づいてくると200ミリから300ミリ。雨量が多くなりますので、河川の増水、それから土砂災害に警戒をしてください。

 風の状況です。
 予想では明日、瞬間的に35メートル。夜からだんだん風が急に強まってくる。明日の午前中からは、きょう以上には風が強いです。特に、夜ぐらいからは、より風がひどくなってくる。土曜日は、35メートルの予想です。

 続いて、こちら。明日、警報が出ているかどうか確認したいところです。
これは警報級の可能性で、まず暴風警報が出るかどうかというのが、気象庁が、可能性が高いか中低度かというのを分けて出ています。
 兵庫県の南部や和歌山県の北部に関しては、この南風が特に通りやすいので、確率としては、明日、暴風警報出る可能性は高い。土曜日は、兵庫県は全域、和歌山県も全域で暴風警報の可能性は高い。その他の可能性は、中程度だと予想しております。

 そして、大雨はどうかというと、現在こちらに警報が出ています。明日の予想を見てみますと、大雨警報の可能性としては、伊勢湾からの湿った空気が特に流れ込みやすい滋賀県では高い。土曜日になると、変わらず滋賀県は高い。その他のところは、中程度となっておりますが、こちらは最新の気象情報の確認をお願いします。

 週間予報で情報をまとめます。
 明日30日(金)は朝から今日よりも雨風は強くなってきます。南部を中心に大雨警戒。天気は変わりやすいでしょう。南風の影響で気温は今日よりも気温が上がって、明日また35度。
 30日(金)の夜から31日(土)いっぱいは台風が近づくタイミングとなり、各地で大雨、暴風、高波に警戒が必要です。
 1日(日)以降に関しては、台風がどこを進むかで予報は変わってきますので、最新情報の確認をお願いします。

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