夜間に他人の畑に忍び込み、京都のブランド野菜「九条ねぎ」を大量に盗んた罪に問われている元農家の男の裁判が、21日京都地裁で始まり、男は「間違いありません」と起訴内容を認めました。

　九条ねぎの元農家の山本英雄被告（28）は、ことし8月から9月にかけ、京都府久御山町の畑から「九条ねぎ」約216キロを盗んだ罪に問われています。

　警察や関係者によりますと、山本被告は高校卒業後に久御山町の九条ねぎ農家のもとで働いたあと、2023年から独立しねぎ畑の経営を始めたということです。

　山本被告は5月以降、取引業者との間で「週800キロを納品する契約」を結びましたが、猛暑の影響で収穫が思うようにいかなかったことから犯行に及んだとみられています。これまでの警察の調べに対し「うまく育てられず経営が苦しかった」「盗んだ方が手っ取り早いと思った」などと話しているということです。

　また山本被告は、他にも4回にわたり合わせておよそ2.3トンの九条ねぎを盗んだ疑いで追送致されていて、捜査関係者によりますと全て容疑を認めていたということですが、京都地検は11月14日付で不起訴にしています。

■山本被告自身も盗難被害に「頑張っても盗られるなら、自分も盗った方がいいと思った」

　21日の初公判で山本被告は、自身も7月頃に九条ねぎを盗まれたことを明かし「盗られた苛立ちもあり、盗んだ方が早いし、頑張っても盗られるなら、自分も盗った方がいいと思った」と語りました。

　そのうえで「被害者の方には申し訳ない気持ちでいっぱいです。被害者からも、したことは戻ってこないし、今後の行動で示すしかないと言われたが、本当にその通りだと思いました。許されることではありませんが、行動で反省を示していきたい」と反省の弁を述べました。

　検察は「知識や経験を悪用し悪質で、犯行動機も身勝手」として、懲役2年を求刑しました。

　一方、弁護側は「被害者にも謝罪し、弁済の意思を示している。反省の態度は本物」として、執行猶予付きの判決を求めました。

　判決は来月19日の予定です。