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【特集】えびす講・衝突事件から25年 当時現場で対応に当たった警察官が語る「祭りと暴走族」

2024年11月20日 19:48
【特集】えびす講・衝突事件から25年 当時現場で対応に当たった警察官が語る「祭りと暴走族」

広島市では11月20日まで『えびす講』とも呼ばれる「胡子大祭」が開かれていました。25年前、この祭りの場で暴走族と警察が衝突する事件が起きました。当時、現場で対応にあたり、暴走族壊滅に尽力した警察官に話を聞きました。一方、騒音を立てて走るバイクを巡っては、新たな問題も生じています。

広島三大祭りの一つで、冬の訪れを告げる『えびす講』は、2024年も多くの人で賑わいました。

25年前、広島県警の小瀧光司さんは、祭りの警戒に当たっていました。

■広島南署交通第二課長 小瀧光司さん
「当時、えびす講というのは『暴走族の引退式』と暴走族がとらえていまして。この祭りに出てきて、特攻服を着てですね。ここで自分たちの引退セレモニーをするんですね。」

当時、広島県内には44のグループがあり、428人が所属していました。周辺を占拠するなど問題になっていました。事態を重く見た県警は、暴走族の排除に乗り出します。歩行者天国に集まる暴走族に対し、県警は退去を警告。祭り客らの目の前で大きな衝突が起きました。

■広島南署交通第二課長 小瀧光司さん
「少年たちも200人、300人集まっていたはずなんですよね。警察が強い姿勢を示したと、検挙したので、少年たちもすごく迷ってるというか、自分たちが思い通りに暴走族の引退式ができなくなったというか、頓挫したような形で、うっぷんはたまっていたのではないかとは思うんです。」

県警は祭りの3日間で45人を逮捕。路面電車が立ち往生するなど、市民生活にも大きな影響が出ました。

その後、小瀧さんは捜査員の1人として、暴走族壊滅に動きます。

■広島南署交通第二課長 小瀧光司さん
「2人1組で車両に乗って、覆面パトカーに乗って、無線を聞きながらですね「暴走族が出たぞ」というところを、無線を聞くとそっちの方に行って、見つけて、それをビデオ撮影して。後から誰がやったかというのを割り出して、逮捕していく、というような作業をしていました。」

2001年には全国初となる「暴走族対策課」が発足。2002年には、広島市が暴走族の集会を禁止するなど罰則付きの条例を定め暴走族包囲網が敷かれていきます。対策が功を奏し、県内の暴走族は衝突の年をピークに減少。2015年、ついにその数は「ゼロ」に。

■広島南署交通第二課長 小瀧光司さん
「集まっているようなことも散見されなくなる。集団暴走行為も減っていくというのを目の当たりにすると、やっぱりこう確実に減っているなということで、やった甲斐があったというか、すごく嬉しかったです。」

今、祭りの会場にあの騒動の面影はありません。

■祭り客
「これが本来の姿かなとは思いますけど。あの時がちょっと異常だったようにも思いますけど。」
「(騒動があったとは)全然知らないです。初めて知りました。今じゃ考えられない感じ。」

しかし今、市民を悩ませているのが「爆音バイク」の存在です。暴走族のような組織性はなく、SNSなどを通じてつながっているのが特徴です。騒音の通報は2024年10月までで、2023年を大幅に上回る1800件以上が寄せられています。

県警は8月、爆音バイクの対策を専門とする、全国初の組織を立ち上げました。

■広島県警暴走・爆音走行対策室課長補佐 世並貴志さん
「一時的な空吹かしだからいいじゃないかと、自分たちの欲求を満たすと言いますか、周りの方の迷惑は、正直なところ二の次。あまり気にはしてないというような現状があると思います。1つの場所でですね、継続的にやるのではなくてですね、複数か所、場所を変えながら取り締り・検問するのも、有効な手段だと思っています。」

小瀧さんは現在、広島南署で爆音バイクの対応にあたっています。県内では4年前、新たな暴走族が確認され、今も2つのグループが活動しています。時代と共に変化する課題。静かな夜を取り戻す対策は道半ばです。

■広島南署交通第二課長 小瀧光司さん
「私としては、25年前のことがよく分かっていますので、いい祭りになって良かったという思いが強いですよね。これを元のような状態にしてはいけないし、確実に検挙して、そういったことを抑制していくというか、やめさせていくということを続けていくしかないかなと思っているところです。」

【2024年11月20日 放送】

最終更新日:2024年11月25日 16:20
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