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世界も注目 次世代の王者候補・錦織圭選手

2015年1月1日 10:10

 昨シーズン目覚ましい活躍を見せ、一躍世界から注目された日本テニス界のエース・錦織圭選手。昨シーズンはこれまでの常識を覆し、世界ランキングでは日本男子初となるトップ10入りを果たすと、全米オープンでは破壊力のあるストロークで格上の選手をねじ伏せ、アジア勢男子初のファイナリストに。世界ランキングも自己最高の5位にまで上り詰め、シーズンの戦いを終えた。

 それまでも錦織選手はロジャー・フェデラー選手やノバク・ジョコビッチ選手を破り、全豪オープンでも8強入り。「トップクラス」と言われる世界ランキング20位の壁を破り躍進を遂げていたが、「トップ10」の壁はなかなか破れなかった。その錦織選手の転機となったのが、マイケル・チャンコーチとの出会いだった。錦織選手に必要だったものは技術や知識ではなく、世界で戦うための強いメンタルだった。

 マイケル・チャンコーチはテニス界では決して大きいとは言えない身長175センチ。それでも錦織選手と同じプレースタイルで体格差のある欧米系の選手にも競り勝ち、全仏オープンでは史上最年少優勝を果たすなど世界ランキング2位まで上り詰めた選手。その強さの源は「たくましい精神力」だと語る。チャンコーチと迎えた昨シーズン、錦織選手は一気に世界から注目される存在となった。

 一番の大きな変化は「攻撃的なスタイル」に変わったことだ。相手の強烈なサーブに食らいつき、予測不能のショットで相手を翻弄(ほんろう)。また、フルセットにもつれた試合は24戦21勝と今シーズントップの驚異的な勝率をマーク。この粘り強さも世界のテニスファンを魅了するひとつの要因となった。そして、2014年の全米オープンでベスト4に進出した時には「勝てない相手はもういない」と確固たる自信を見せた。その言葉通り、全米オープンでは快進撃を見せ、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手を破り決勝へ。そしてアジア勢初の4大大会ファイナリストとなり世界中を驚かせた。さらに年間上位選手のみが出場を許されるツアーファイナルズにも出場。その戦いぶりは恩師である松岡修造さんをもうならせた。

 そんな錦織選手が2014年を振り返った漢字一文字は「変」。「周りの状況も変わり、自分のテニスも変わった。この1年を通して攻撃的に変わり、その結果が出てきたことが昨シーズン一番のキーポイント。自分のショットひとつひとつに自信を持てるようになり、多少のリスクがあっても打つことが出来るようになったことが飛躍の最大の要因だ」と錦織選手は語る。世界からも一目を置かれ次世代の王者候補として注目される存在となった錦織選手は世界中の期待を背負う中、2015年シーズンヘの意気込みを「大きな大会でどんどん勝っていくことが、ランキングが上がることにもつながるので、マスターズやグランドスラムで、どんどん大きな結果を出していきたい」と語った。

 2014年、大きな飛躍を遂げた日本テニス界のエース錦織。2015年はどんな戦いを見せてくれるのか。日本勢初の4大大会シングルス制覇がかかる2015年最初のグランドスラム・全豪オープンは1月19日に幕を開ける。