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「プロ」と「ママ」の使命 岩清水梓の覚悟

2021年9月7日 17:10
「プロ」と「ママ」の使命 岩清水梓の覚悟

12日に開幕を迎える日本初の女性プロサッカーリーグ、WEリーグ。その新リーグの開幕とともにプロとして、そして1児のママとしても新たな挑戦をスタートさせる日テレ・東京ヴェルディベレーザの岩清水梓選手。なでしこジャパンの一員として女子ワールドカップに3大会連続出場し、2011年にはその大舞台で優勝を経験。

さらに、2020年3月に第1子となる男の子を出産した岩清水選手が、プロとして挑む新リーグ開幕への決意、そしてママさんアスリートとしての夢を明かしました。


◆新リーグ開幕へ“プロサッカー選手”としての決意


――チームとしてプロになったことで変わったこと

監督やスタッフからもプロとしてのゲームかどうかということを問われることもたくさんありましたし、それぞれの時間の使い方という意味では、練習以外にもトレーニングを積む選手も多くなってきたので、本当にサッカーへかける時間っていうのが多くなったのは間違いないですね。


――WEリーガーになりたい子供たちの目標になる

WEリーグができたことで現実的に子供たちの夢になったと思うので、やっぱり「WEリーガーになりたいな」と思ってもらえるかどうかは自分たちのプレーの質だったり、みんなに喜んでもらえるプレーを見せることだと思うので、やっぱり憧れの職業にしてもらいたいからこそ、自分たちがまずしっかり見せないといけないと思っています。


――WEリーグが発足することでプロ化が整備される

その整備がまた日本のなでしこジャパンがまた強くなる一つの要因になるはずだと思うので、まずこのリーグが本当にしっかり成立すること。そしていろいろな国の選手が逆にきたいと思うようなリーグになっていくことが、またリーグのレベルアップになると思うので、いろんな国の選手が憧れるようなリーグになっていけたらもっといいんじゃないかなと思っています。


――WEリーグは10、20年後、どんな景色になっているか

Jリーグ開幕が、私がちょうどサッカーを始めた時だったので、その時の印象は、やはり凄かったですし、それでサッカーを始めた人もたくさんいたはずなので、このWEリーグ開幕というワードをいろんな人に知ってほしいと思いますし、若い女の子たちがサッカーをやることが当たり前、プロという職業になるわけだから、何か興味を持ってもらうひとつのワードになってほしいです。


◆「ママさんアスリート」としての挑戦


――子育てとの両立は

1歳半にもなりましたので、だいぶ板に付いてきたところもありますけど、やはり育児をしてみて初めて気づいたことといえば、自分も練習で疲れてきた体で育児をしていると、保育園でそれなりに風邪をひいたりとかいろいろあるんですよね。風邪をひかないと強くもならないので、子どもは。そういった子どものひく風邪をダイレクトにもらってしまうという。それはママさんアスリートをやってみて初めて気づいた悩みではありましたね。


――海外ではやっている選手は多いが、日本との差は

ママさんアスリートが成立するには家族の支えはもちろんなんですけど、やはりその家族以外のサポートというのは、母親だけではどうしてもグラウンドに戻れない。子供を見てくれる時間が、やっぱり離れる時間ができてしまうので、そのサポート力というか、そこはやはりアメリカを例にあげますけど、アメリカのチームに一人見てくれる方がいるとか、子供を見てくれる人がいるとか、そういった環境面はやっぱりひとりでは、そして家族だけではなかなか難しいところがあるので、そういった支え、サポートというのは本当に必要です。


――リーグは女性活躍を掲げている

今でもWEリーグの中で多様性というワードをすごく聞くんですけれども、私もママさんというポジションで自分がやりたいなと思ったことをやらせてもらってるのは、そういった多様性という言葉がまた後からくっついてきてくれた。自分の背中を押してくれた言葉でもあるので、みんながそういった多様性というのを受け入れてくれて、私がここでリーグで頑張る意味というのもまたつながっていくのかなと思っています。


――子育てをしてピッチに立つ姿を見て、何を感じてほしいか

単純なところではママさんの一つ興味になってもらいたい。あまりサッカーを見たことないお母さん方というのはきっと多いと思うんですけど、「お母さんサッカーしてるらしいよ」ぐらいな入り方でちょっと見てもらったら嬉しいなというのもあります。もちろんその先の今後のWEリーガーの選手たちにも、そのお母さんというのが増えていくためには、私がピッチでやはりそれなりのレベルを見せないと、そうなりたいって言ってくれないと、と思うのでそのピッチに立つということの使命感というのは持っています。


――年齢問わず出産を選択できるという面はあるか

本当に選手として考えるなら、いろいろな時期というのはあるかもしれないですけど、その一個人が女性としてやはりサッカーももちろんだけど、母親になりたいと思う時期がそれぞれだと思うので、それぞれの判断というのがあって、それは尊重されるべきだとは思うので、その背中を押してくれるような社会であって、チームでもあって欲しいなっていうところはあります。ただやはり私が母親をやってみて思いましたけど、自分に割く時間というのは本当になくなるというか、今まではアスリートの私だけが集中して、自分に集中していればいいですけど、やはり第一が子供になりますから、そこの比重というのが変わるのは、それは絶対だと思います。


――今後の夢は

息子と一緒に入場する、子どもを抱っこして入場するというのを出産前から目標にはしてきたので、そのステージがいよいよ近づいてきたというところはありますけれども、息子を抱っこして入場するとことはスターティングメンバーに入らないとできないことなので、やはりそこへの壁というか、それはやはりベレーザというチームですのでレベルが高いですし、本当に簡単にいくポジションではないので、そこのスターティングメンバーに食い込んでいけるように今は目標を高く設定して頑張っています。

写真:森田直樹/アフロスポーツ