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110年ぶり偉業の尊富士、“髪が追いつかない”最速出世も ケガで「歩けない」…背中を押した横綱の言葉【#みんなのギモン】

2024年3月26日 9:03
110年ぶり偉業の尊富士、“髪が追いつかない”最速出世も ケガで「歩けない」…背中を押した横綱の言葉【#みんなのギモン】
大相撲春場所で尊富士(たけるふじ)が快挙を成し遂げました。新入幕での優勝は110年ぶりで、新入幕で初日から11連勝したのは64年ぶり。初土俵から10場所での優勝は歴代最速です。千秋楽前日に負傷しながら奮起できた裏には、ある言葉がありました。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「尊富士110年ぶり偉業のワケ」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●背中を押した横綱の言葉
●“心が大事”次の目標は?

■前日の取組で右足を負傷しながら優勝

富田徹・日本テレビ解説委員
「大相撲春場所で、東前頭十七枚目の尊富士(24)が110年ぶりとなる新入幕での優勝を果たしました。24日の千秋楽では、前日の取組で右足を負傷しながら優勝がかかる大一番に臨みました。押し倒しで平幕の豪ノ山を破り、優勝を決めました」

「そして一夜明けた25日午前、会見が開かれました」

尊富士
「本当に優勝したんだなっていう。まさかここまでできるというのは、夢のまた夢ですし、本当に15日間やってよかったなっていう、本当にそれだけです。1つのドラマを見ているような感覚だったですね」

■わずか8場所で…十両へスピード出世

鈴江奈々アナウンサー
「見ている私たちにとっても夢のような取組で、本当に元気をもらいましたよね」

斎藤佑樹キャスター
「ケガは心配だったんですけど、すごいかっこよかったですよね」

富田解説委員
「逆境の中でしたからね。尊富士は今回、記録も塗り替えまくっています。大学卒業後の一昨年9月に初土俵を踏むと、一番下の序ノ口からわずか8場所でプロの力士と認められる十両へスピード出世しました」

「1月の初場所でもいきなり優勝すると、その成績が認められて今回の春場所で新入幕を果たし、前頭となりました」

■大横綱・大鵬以来64年ぶりの快挙も

富田解説委員
「そして初日から11連勝。新入幕で初日から11連勝するのは、昭和の大横綱・大鵬以来64年ぶりの快挙となりました」

「ただ、ここで試練が訪れます。23日の取組で右足にじん帯損傷のケガをして病院に運ばれました。出場も危ぶまれていましたが24日、そのケガを押して千秋楽に臨み、優勝しました」

「新入幕での優勝は1914(大正3)年の両國以来、110年ぶりの快挙です。また、初土俵から10場所での優勝は歴代最速でした」

森圭介アナウンサー
「新入幕の優勝がこれだけ報じられていますけれども、その前も記録をたくさん塗り替えていて、まぐれじゃないということが分かりますよね」

■ギリギリの状況で背中を押した横綱

河出奈都美アナウンサー
「普通ならばさらなるケガのリスクもある中で、出場しないという選択もあったと思うんですよね。それだけ強い思いがあったのかなあと思いました」

富田解説委員
「そのギリギリの状況で背中を押したのが、同じ伊勢ヶ濱部屋の横綱・照ノ富士の言葉だったそうです」

尊富士
「部屋の横綱(照ノ富士)が自分のところに来てくれて、『どうだ?』と言って、『この状況きついですね、歩けないですし』と(答えました)。そうしたら横綱(照ノ富士)自身のいろんな話を聞いて、『お前ならやれる』と」

「『記録はいいからお前は記憶に残せ。勝ち負けじゃない。最後まで出ることがいいんだよ、負けてもいいから。しょうがない。でもこのチャンスはもう戻ってこないよ』と言われて」

「そのときに急に、横綱(照ノ富士)に言われた瞬間に、少し自分で歩けるようになったんですよ。怖いくらいに」

■「自分の手で優勝をつかみたかった」

富田解説委員
「照ノ富士からは『記録はいいから記憶に残せ』という言葉をかけられ、『どうしても自分の手で優勝をつかみたかったので自分で動いた』ということなんです」

鈴江アナウンサー
「横綱の言葉で動かなかった足が動くようになることがある、ということにまずびっくりしました。同じように身体を追い込んできた斎藤さん、どうですか?」

斎藤さん
「そんなこと言われたら、期待されたらやっぱり頑張れるんですけど、ケガだけには本当に気をつけてほしいですよね」

鈴江アナウンサー
「先もありますからね」

■趣味は…良い匂いのボディークリーム

富田解説委員
「将来が期待されている尊富士弥輝也は、どんな力士なのでしょうか。青森・五所川原市出身で身長184センチ、体重143キロ。好きな食べ物は馬肉と桃」

「趣味は、良い匂いのボディークリームを塗ること。室内の香りを良くする、匂いの良いディフューザーを探すことだということです。匂い好きの相撲取りです」

森アナウンサー
「お相撲さんはけっこう、皆さん良い匂いにされていますけれども、またちょっと違った良い匂いがするのかもしれませんね」

河出アナウンサー
「桃の香りなのかなって思いますね。桃好きだけに」

■強い負けん気…高校時代のエピソード

富田解説委員
「一方で、負けん気が強いというエピソードもあります。少年時代に通った道場の恩師、越後谷清彦さんによると高校時代、大会の途中でひざにケガをして救急車を呼びました」

「尊富士はその時、歩けない状態なのに泣きながら『自分が出ないと決勝は勝てない。先生、出してください』と言ったんだそうです」

森アナウンサー
「責任感とか、勝利に対する執念というものがその頃からあったということですよね」

■「応援してくれる人たちのために」

富田解説委員
「執着心ということですよね。ここからは『“心が大事”次の目標は?』のポイントについて考えます。尊富士は、相撲でも重要とされる心技体の中で、心が一番大切だといいます」

「今場所についても、気持ちで乗り切ったと言っているんですが、25日の会見では驚きの発言もありました。『正直僕も人間なんで甘い部分もたくさんありますし、正直相撲は好きじゃない』と言いました」

「その後、『応援してくれる人たちのために、僕は相撲を大ケガをしても続けられる。それが僕の相撲にとっての幸せ』と続けました。斎藤さん、こういう心境はどう見ますか?」

斎藤キャスター
「スポーツは相手がいるものだと思うんですよ。その中で応援してくれる方の後押しはすごく心強いですよね」

■目標は今年中に三役…大銀杏の姿も?

富田解説委員
「まさに心が支えになってきます。今後が楽しみですが、夏場所の番付発表は4月30日です。今は前頭十七枚目と下の方ですが、ぐっと上がるのではないかとみられています。今後の目標は、今年中に大関・関脇・小結の三役に上がることです」

「そして、大銀杏を結っての優勝に期待がかかります。今回、十両以上の力士が結うことができる大銀杏は結えないままの優勝になりました」

「結うにはある程度の髪の長さが必要ですが、髪が伸びるのが追いつかないぐらいのスピード出世でした。夏頃には大銀杏の姿が見られるかもしれません」

鈴江アナウンサー
「このスピード感で活躍している力士は、私たちは今まで見たことがないわけですよね。この先のドラマにどんな展開が待っているのか、本当に今から楽しみです」

森アナウンサー
「強い力士が1人出てくると、同年代でライバルが出てきて、世代の盛り上がりもありますからね。その辺り本当に楽しみですよね」

富田解説委員
「相撲の新時代というものが、これからもっと楽しみになってきますよね」

(2024年3月25日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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