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【高校サッカー】連覇を目指す岡山学芸館「国立の舞台は一度見ると忘れられない」

2023年12月22日 6:00
【高校サッカー】連覇を目指す岡山学芸館「国立の舞台は一度見ると忘れられない」
決勝点を決めた田邉望選手(岡山学芸館)
第102回全国高校サッカー選手権大会は12月28日に開幕します。岡山代表・岡山学芸館は今大会の優勝候補に挙げられている福島代表・尚志と12月31日の初戦で対戦します。前回大会で岡山県勢として初優勝、連覇に挑む全国大会を前に県大会決勝を振り返ります。

◇ ◇ ◇

県大会決勝は2大会連続で同じ顔合わせになりました。全国王者の岡山学芸館に対して 8大会ぶり9回目の全国大会を目指した県立玉野光南(以下:玉野光南)の一戦。

試合序盤の主導権を握ったのは玉野光南でした。前半4分、FW鈴木大空選手(2年)が左サイドでボールを持つとゴール前にクロスを供給します。直後の前半5分には今度は右サイドを突破したFW伊原快選手(3年)がクロス。いずれもボールは岡山学芸館のGK平塚仁選手(3年)がキャッチしますが、玉野光南が積極的な攻めを見せます。

その後も敵陣でプレーする玉野光南は前半22分、伊原選手が右サイドのペナルティエリア外でファールを獲得。DF宮後名緒登選手(2年)が蹴ったフリーキックをDF宮崎颯真選手(3年)が頭で合わせてシュート。ボールは惜しくもクロスバーを叩きます。

一方でシュートまで持ち込めない岡山学芸館でしたが前半27分、右のコーナーキックからMF木下瑠己選手(3年)が上げたボールをファーサイドでDF平野大樹選手(3年)が頭で折り返します。

最後はFW木村奏人選手(3年)がヘディングシュート。ポストに阻まれますがこぼれ球に反応したDF高山隼磨選手のシュート。これは玉野光南のDF内山陽太選手(3年)が身体を投げ出して守ります。

前半その後は互いに岡山学芸館のGK平塚選手、玉野光南の主将でGK常藤至竜選手(3年)を前に得点を奪うことはできません。

岡山学芸館はハーフタイムでボランチのMF山河獅童選手(3年)に代わってMF植野柊選手(2年)を投入します。流れを変えようと迎えた後半でしたが、ファーストチャンスは玉野光南。後半1分、味方のパスを受けた伊原選手がエリア内に進入しグラウンダーのボールで折り返します。そこに飛び込んできたMF守田尚樹選手(3年)でしたがシュートは枠を捉えられず思わず頭を抱えます。

岡山学芸館は両サイドのMF木下瑠己選手とMF田邉望選手(3年)を起点にFW木村選手やFW太田修次郎選手(2年)が絡みチャンスを作ります。一進一退の攻防が続く中試合が動いたのは後半21分でした。

岡山学芸館の主将で背番号10番MF田口裕真選手(3年)が左サイドの木下選手へ展開。木下選手はエリア内の木村選手に浮き球のパス。そして木村選手は田口選手にパスを出します。そこに玉野光南の選手がスライディングし田口選手が倒れたことでボールが誰もいないスペースに転がります。

これがファールではないかと一瞬プレーを止めた玉野光南の選手たちに対して、素早くボールに反応したのは岡山学芸館の田邉選手。右足を振りぬくと、相手選手の足に当たったボールがそのままゴールに吸い込まれて岡山学芸館が先制します。

その後は追いつきたい玉野光南が前がかりに攻め、岡山学芸館はカウンターで追加点を狙う展開となります。そして後半アディショナルタイム3分、玉野光南は最後の決定機を迎えます。

エリア内のこぼれ球を拾った宮後選手がMF森虹太朗選手にパス。エリア外から力強いシュート。これはボール1個、2個分枠から外れて森選手は地面に手をつき悔しがります。その後も攻めた玉野光南でしたが、そのまま試合終了。岡山学芸館が3大会連続6回目の県大会優勝を果たしました。

岡山学芸館の主将田口選手は試合を振り返り、「前半は少し受けてしまい押し込まれる展開になったが、後半は修正できた。いろいろな重圧がある中で毎日不安だったので肩の荷が下りた。やっとスタート位置に立てた。国立は味わったことのない最高の舞台、後輩たちにもその景色を見せたい」と語りました。

その岡山学芸館は全国大会の初戦の相手が福島代表・尚志に決まりました。世代別代表選手などを複数擁し今大会の優勝候補に挙げられている相手について高原良明監督は、「パスサッカーで左右に揺さぶってくるだけではなく縦にも速い。サッカーのスタイルが似ている部分がある。やりがいがある相手で楽しみ。国立を経験する前よりも今の方が国立に行きたい気持ちが強い。それくらい一度見たら忘れられない舞台だったので戻れるように戦いたい」と語りました。

今大会連覇を目指す岡山学芸館。前回大会で見せたような試合を追うごとにチーム全体が成長していく姿を見せることができれば、再びサックスブラックのユニフォームの選手たちが国立競技場でトロフィーを掲げる姿が見られるかもしれません。

(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/西日本放送)