元世界1位「フクヒロペア」も認めるバドミントン界の超新星 武器は時速350キロの“バズーカスマッシュ” 【女子バドミントン・平本梨々菜選手】
バドミントン界に“金の卵”が現れました。世界ジュニア優勝の快挙を成し遂げたのは、現役女子高校生。172cmの長身から繰り出す"バズーカスマッシュ"を武器に、ロサンゼルスオリンピックで金メダル獲得を目指します。そんな次世代エース候補の素顔に迫りました。
ムチのような柔軟な体からくり出す“バズーカスマッシュ”が武器
2028年のロサンゼルスオリンピック出場を目指すバドミントン界の“金の卵”がいると聞きつけてやってきたのは、岐阜県岐阜市にある「丸杉バドミントンアリーナ」。
東京オリンピックで活躍した元世界ランク1位“フクヒロペア”こと福島由紀選手と廣田彩花選手が所属する岐阜Bluvic(ブルヴィック)の拠点です。
さっそく中へ入ってみると、練習に励む廣田選手の姿がありました。フクヒロペアは次のステップに進むため去年9月にペアを解消。福島選手は現在別の選手とペアを組んで始動していて、1月のマレーシアオープンでは松本麻佑選手と組み国際大会初優勝。廣田選手は去年手術をした左膝前十字靱帯のけがとも向き合いながら、ダブルスペアを探し中だといいます。
その廣田選手も“金の卵”だと太鼓判を押すのが、岐阜県池田町出身の平本梨々菜選手。青森県にある青森山田高校に通う現役女子高校生です。
去年10月、世界ジュニアのダブルスで優勝し、史上3組目の快挙を成し遂げた実力の持ち主。現在は岐阜Bluvic内定選手として高校生ながら国内リーグにも参戦し、福島選手ともペアを組んで出場するなど、将来を大きく期待されている地元選手です。
シングルスも強く、去年の全国高校選抜では優勝を果たしています。シングルスとダブルスの二刀流を目指し、大谷翔平選手にあやかって背番号を『17』に。
そんな平本選手の強みは、172センチの身長と長い手足を生かした攻撃的なプレー。特に、バズーカのような威力のあるスマッシュが武器ということなので、お願いして全力でスマッシュを打ってもらうと、的にした三角コーンは回転しながら吹き飛ばされました…。シャトルの時速はなんと約350キロ!
この“バズーカスマッシュ”を可能にしている要素の一つが、肩関節の柔らかさ。全身をムチのようにしならせて使うことで、威力を増しているのです。それは前衛でネット前の浮き球を鋭く返す“プッシュ”攻撃でも大きな武器に。
さらに、パワーだけでなく、返しにくい足もとをあえてねらって打つというセンスも抜群です!
そんな平本選手の息抜きは“食べること”。特に、きつい練習や試合の後はかなりの量を食べるようで、すしなら47皿を平らげたことがあるそうです。世界一の女子高生は食事量もレベルが違いました。
“世界一の女子高校生”を支える家族の絆
中学から家族と離れ、青森で寮生活をしてきた平本選手。現在は岐阜Bluvicの練習や大会に参加するため、定期的に岐阜の実家に帰省していて、そのたびに母・まきさんがバランスを考えた食事を作ってくれています。
岐阜・池田町出身 岐阜Bluvic内定 平本梨々菜選手(高3):
「お母さんが作る卵焼きが一番好き。いつもお弁当に入れてもらっている。親の手作りのお弁当を食べるのは小学校6年生ぶり。(内定して)こっち来て、親のご飯が一番おいしいなって」
そう話す平本選手ですが、お母さんのお弁当を味わえるのも、あと少し…。現在は青森と岐阜を行き来しているので、岐阜での練習の時は実家から通っていますが、4月からは1人暮らしをすることが決まっているのです。
たとえ離れて暮らしていても、娘の挑戦を応援したいという気持ちは変わりません。平本選手の両親は、どんなに小さな大会でも、いつも会場に駆けつけているそうです。
実は平本選手、家族に関係する“あるルーティン”を試合前に必ず行っていました。それは、手のひらにハートマークを描いて飲み込むこと。「相手の気持ち(ハート)を飲んで、必ず勝つ」。試合中、家族が近くにいなくても気持ちを強く持てるようにと、母・まきさんが考えたこのルーティン。幼い頃からずっと行う、大切なお守りです。
春から本格的にプロ参戦となる平本選手。将来の夢は…?
岐阜・池田町出身 岐阜Bluvic内定 平本梨々菜選手(高3):
「ロスオリンピック(2028年)と ブリスベンオリンピック(2032年)で金メダルを取ることです!」
オリンピックの大舞台で、手のひらにハートマークを描く平本選手の姿が見られるかもしれません。