「足から戻れ」チーム盗塁数4年連続トップの阪神に赤星憲広臨時コーチが走塁の極意を伝授
赤星さんは2005年、現在も監督を務める岡田彰布監督のもと、リードオフマンとして打率.316をマーク。さらにシーズン60盗塁を決めるなど、阪神のリーグ優勝に大きく貢献しました。
実は今の阪神も盗塁など機動力が武器で、チーム盗塁数は4年連続リーグトップ。盗塁王も4年連続で輩出しています。
中でも赤星さんが注目していた選手はプロ3年目の中野拓夢選手。ルーキーイヤーに盗塁王を獲得するなど、スピードに定評があります。
赤星「WBC日本代表に選ばれていますし、今回僕が持っているものを一番教えたい。中野選手はまだまだ『こうした方がいい』というところがある。その中でルーキーイヤーに盗塁王をとっているので、それを考えると伸びしろがある。いろいろ注入できたらと思っています」
■WBC代表 2021年盗塁王・中野拓夢にも弱点が・・・
すると一塁から盗塁の練習をしていた中野選手と何やら話し込む赤星さん。実はある欠点を指摘していました。
赤星「大事なところで力が入りすぎて(スタートで)体が起きてしまう。そこをまず無くさないとWBCでやばいよね。大事な場面で絶対力入るからと」
力が入るとスタートで上体が起き上がってしまい、スピードに乗れないことがあるという中野選手。
力が入らないようにするため、赤星さんは「"呼吸法"、リラックスする時にどう呼吸したらいいか、最初に吸っておいてスタートまで吐き続ける。吐くのは良い、吐くと力が抜けるので」とアドバイス。
アドバイスを受けた中野選手は「世界で盗塁を決めるのは緊張すると言われたので、そういう場面で決めるにはスタートが大事になると思う。練習しながら自信をつけたい」と語りました。
■帰塁の極意は「足から戻れ」
その後も走塁指導を行う赤星さんは、現役時代の自分の動きを踏まえて"帰塁"の仕方について分析。
赤星「監督と『赤星、帰塁は足から入っていたよな』という話になりました。『僕は基本的に足から戻って、際どい時は手で行っていました』と。今の選手たちはみんな手から戻る選手が多い」
けん制で一塁に戻るときは、基本的に足から帰っていたという赤星さん。しかし、今の選手は手からベースに戻ることが多いと言います。
赤星「ケガにも繋がるし、手で戻るのは最終手段だと思う。逆をつかれたとき、ヤバいと思ったときに手で戻るのはあるけど、足から戻る反応の良さの練習もしておかないといけない。監督も『足から戻れるんだったら足から戻れ』と言っている」
急遽、足からの帰塁を練習することになりましたが、それを見ていた岡田監督は「帰るときにちょっと遠回り」と指摘。
足から戻ることに慣れていない選手たちは、真っすぐ帰塁できずロスが生まれていました。
この要因として赤星さんは「みんな意識が頭から戻るから、蛇行する」と分析。赤星さん自身は帰塁の際に、1歩目の置き方に意識を置き、ロスが生まれないようにしていたと言います。
この教えに三度盗塁王に輝いた近本光司選手は「足から帰塁することは自分にはないところだった。体力的にも手で帰るとしんどいので、足に帰れるようになれたらすごく楽だなと思います」とコメント。
今シーズンは阪神の盗塁数にも注目です。