マイナンバーカードと運転免許証を一体化する、「マイナ免許証」の運用が２週間後に始まります。講習のオンライン化や住所変更の不要などさまざまなメリットがある一方、紛失時の再発行に約1か月かかるなどデメリットもあるマイナ免許証。街の反応や選べる保有方法、発行の流れについて取材しました。
今月24日より運用スタート！会場の混雑緩和を目指す
3月６日、名古屋市天白区。平針にある運転免許試験場。この日も免許更新や試験など、さまざまな目的で多くの人が訪れていました。待合スペースを見てみると、講習待ちの人々で混雑しています。
しかし今後、この混雑を解消してくれるかもしれないアイテムが、マイナンバーカードと運転免許証が一体化した「マイナ免許証」。
マイナ免許証とは、マイナンバーカードに運転免許証の情報が組み込まれたもので、今月24日より運用が始まります。
免許更新を迎える人は、運転免許試験場内にある特別会場で、マイナ免許証を新たに発行することが可能。マイナ免許証は、従来と比べて更新手数料が安くなり、講習がオンラインになるなどの特徴があります。
マイナ免許証に対する、街の人の反応のさまざま。
60代男性は、「マイナンバーカードと免許証一緒になるんですよね。便利だと思っていますけれど、保険証も一緒になるし、なんだったらETCカードだとか、いろいろな機能をすべて１枚に集約されると助かるといえば助かる」と運用に期待。
マイナ免許証の運用を今日知ったという20代の男女は、更新手数料が１０５０円安くなる部分に好反応。また、20代女性は「便利だと思いました。（免許更新に）予約も取りづらかったので、リモートだったらやりやすいと思いました」と話しました。
一方、「ちょっと怖いというか、何もかも一緒にしてしまうのは、ちょっと嫌で」とマイナ免許証に不安をみせる街の人も。
「優良講習会がウェブでできるとあったので、それは便利かなと思いました。駐車場も混み合いますし、時間も読めないので」という声もありましたが、オンラインになるのは講習のみ。
視力検査や写真撮影の際は、会場に行く必要があることを伝えると、「講習がないだけか…。あんまりメリット感じないですね」と心境を明かしました。
手数料も安く、オンライン講習も可能！
今月２４日から運用が始まるマイナ免許証。健康保険証は新規発行が停止され、“マイナ保険証”に原則移行となっていますが、マイナ免許証は今後どうなるのでしょうか。
警察への取材によりますと、マイナ免許証は、“従来の免許証のみ保有”、“マイナ免許証のみ保有”、“従来の免許証とマイナ免許証の両方を保有”の３つのパターンから保有方法を選べるといいます。
マイナ免許証のメリットは３つ。１つ目は、住所変更が不要になること。これまで自治体と警察の２カ所への届け出が必要となっていましたが、マイナ免許証の場合は警察への届け出が不要となります。
２つ目は、免許更新に要する時間の短縮。視力検査や写真撮影などは、免許センターなどで行う必要がありますが、優良ドライバーの場合は、オンライン講習が利用できるようになるため、免許センターの滞在時間を短縮することができます。
３つ目は、手数料が安くなること。優良ドライバーの場合、免許証のみを更新する場合に比べて、マイナ免許証のみを更新する場合は、更新手数料が１０５０円安くなります。
一方、心配な部分は２つ。１つ目は、再発行までの期間です。マイナ免許証には、運転免許証の顔写真や番号、有効期限などがマイナンバーカードのＩＣチップに記録されているため、マイナ免許証を紛失した場合、再発行には約１か月の時間が必要となります。再発行が完了されるまで、運転は不可。“即日発行”が可能だった従来の免許証と比べると、マイナ免許証は約１か月の発行期間を要することになります。
２つ目は、有効期限が分かりづらいこと。従来の免許証には有効期限が記載されていましたが、マイナ免許証には記載されません。
また、マイナ免許証の有効期限はアプリで確認することが可能。今月24日までにスマートフォンアプリが開設され、同アプリを起動した状態でスマートフォンにマイナ免許証にかざすことで、更新日などの免許証情報が画面上に表示されるようになるといいます。
マイナ免許証の発行方法とは？
マイナ免許証はどのように発行するのでしょうか。
まずは運転免許試験場内にある専用の機械にマイナンバーカードをセット。免許証の情報をマイナンバーカードに書き込む準備を行います。
その後、従来通り、視力検査や写真撮影を済ませ、講習を対面で受講。マイナ免許証を発行したあとに更新する場合は、講習をオンラインで受けることができますが、初めてマイナ免許証を発行する際は、講習も対面で受ける必要があるといいます。
一連の作業が終わったら、マイナンバーカードと免許証を担当者に渡して一体化。マイナ免許証一枚だけを保有する場合、従来の免許証は返納し、一体化されたマイナンバーカードを持って帰ることになります。
マイナ免許証発行後、２回目以降はオンラインによる講習が可能。免許センターで講習を行う人が少なくなるため、会場内の混雑を緩和できる可能性があるのです。
マイナ免許証は、今月２４日から運用スタート。運用開始の前日となる3月23日（日）は、プログラムの更新や動作確認などを行うため、免許関係の事務が全国一斉に停止。免許証更新ができないので注意が必要です。
