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“おにぎり”がピンチ!「いや、まじか…」お店も困惑、コメとノリの価格が高騰

2024年6月21日 15:57
“おにぎり”がピンチ!「いや、まじか…」お店も困惑、コメとノリの価格が高騰

「おにぎり」に今、異変が起きている。おにぎりの命、コメの価格が高騰し、さらにノリも値上がりしているのだ。名古屋のお店で、“小さくなっていた”おにぎり。価格高騰の理由、値上がりと向き合うお店の人々を取材した。

コメが高騰...大きさを変える”苦渋の決断”

名古屋市にある、おむすび専門店『えんむすび熱田本店』。お店の魅力は、注文を受けてから、おにぎりを握ってくれること。お客さんからは、「おいしいし、(握りたては)あったかいじゃないですか」、「ふわっとして大きくて、おいしいんですよね。おにぎりがすごく」など、握りたての味を喜ぶ声が寄せられている。

「おにぎり1個を握るのに1分もかからないので、ちょっと待ってもらって、おいしいものを提供したいなと思って」と話す、『えんむすび熱田本店』の大橋侑さん。しかし、今月から“変えたこと”があった。それは、おにぎりの“大きさ”だ。

大橋さん曰く、「(”おにぎり”の大きさを)一回りだけ小さくさせてもらってます」というおにぎりのサイズ。以前の大きさと比較すると、確かにちょっとだけ小さくなっている。

「値段を上げるか大きさを変えるかの二択で、どっちを取るかとなった時に値段を上げたくないなと思ったんですよ」と話す大橋さん。おにぎりの大きさを変えるという、”苦渋の決断”に至った理由。

それは、コメの価格高騰だ。「5月ぐらいから(価格が)ちょっとだけ上がるねと(仕入れ先から聞いていた)。1㎏あたり20円上がった。いや、まじかって思った」

今、“おにぎり”にとって、深刻な事態が起きていたのだ。

販売店も困惑「需給バランスが崩れている」

名古屋市昭和区で約100年、コメを販売している『お米の服部』を訪ねた。「通常だとここにバーっと全部お米が並んでいる状況なんですけど、ほんとになくて。いま、ここがガラ空きの状態になっています」と、店内に大きく空いたスペースを眺めながら話すのは、『お米の服部』の服部純さん。

全国で取れたコメを販売しているお店だが、取り扱っているコメの一覧表には「ソールドアウト」の印が。その印は、1つや2つではない。「うちは20種類以上の(お米の)取り扱いがあるが、いまは10種類以下になっちゃっているレベル」と、服部さんはお店の現状を明かす。

農林水産省が発表した「主食用のコメの収穫量(全国)」によると、コメの収穫量は年々減少。2022年は約670万トン、2023年は約661万トンと、去年に比べて今年は約9万トン減少している。

お店によると、去年の夏頃からインバウンドなどで外食の需要が上昇。その影響で、品種によっては急に在庫が切れて価格も上がり、コメの需給バランスが崩れているという。

「去年の仕入れ価格より、1.7倍ぐらいになっている。ほんとに異常事態ですね…」と困惑する服部さん。新米が出そろう9月以降には、価格が落ち着くのではないかと予想している。

ノリも値上がり!平均単価は3年前の倍

ピンチを迎えている「おにぎり」。実はコメだけではなく、ノリも値上がりをしていた。

『荒木海苔店』荒木隆史社長は、「この2年で(共販の)平均価格で比較すると2年前の約1.8倍。3年前と比べると平均単価は倍ぐらいですね。かなりキツイ」と話す。

全国漁業のり事業推進協議会が発表した「ノリと入札枚数と平均単価」によると、ノリの取引枚数は去年、一昨年と激減。2019年は約70億枚だった共販数量は、2023年に約49億枚に減少。2019年に約13.4円だった平均単価は、2023年には約21.1円に値上がっている。

取引枚数の減少理由については、全国の生産量の半分近くを占める、九州・有明海での不作が2年連続で続いたことが主な要因といわれている。

入札枚数と平均単価の変化は、店で販売する商品にも影響をおよぼしている。『荒木海苔店』では、「味付け海苔」を540円から648円に値上げ。寿司などで重宝するノリは、50枚入りだったものを、30枚に変更し、価格を少しだけ下げたという。

「以前、卵・モヤシの価格が変わったことがあったが、消費者に受け入れる素地が出来上がれば、なんとかがんばっていけるかなと」と話す荒木社長。

値上がりが収まるのが先か、需要と供給が落ち着くのが先か。
”おにぎり”をめぐるピンチはしばらく続きそうだ。

  • 中京テレビNEWS NNN
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