学校給食にオーガニック食材を 全国で取り組み広がる 1日12万食を提供する名古屋市の課題は「提供量」と「価格」
農林水産省の調査では、2022年度時点で193の市町村が学校給食で有機食品を使用。名古屋市でも、2021年度から年に1回オーガニック栽培のバナナの提供を開始し、2024年の秋頃からは有機パイナップル、年度内には無農薬の特別栽培米の使用も始められるように調整が進められています。
名古屋市内で学校給食のオーガニック化を推進する「名古屋オーガニック給食審議会」は、今後さらに品数を増やしていくため、保護者や子どもが自治体や企業とフラットな立場で対話する機会を設けようと、7月30日に「名古屋市学校給食試食会&対話会」を開催。当日は106人が参加し、「豚肉とトマトの夏ごはん」「とり肉の塩こうじ焼き」など、オーガニック食材を使用したメニューの試食が行われました。
参加者からは「オーガニックの食材を買う選択をしない、できない家庭でも、1日1食の給食だけでも子どもたちの栄養を整えられる給食になってほしい」「子どもたちが生産者やメーカーの気持ちを知ってもらいながら給食を食べる時間になればいい」などの意見が寄せられました。
一方、人口50万人以上の政令指定都市でオーガニック給食を導入する際、課題となるのは「提供量」と「価格」。名古屋市では1日に約12万食の給食を提供していますが、すべての学校で同じ献立を提供する仕組みになっているため、必ず提供できる食材、何か問題あればすぐに代品が手に入る食材のみが献立に採用されています。
市の担当者によると、小さい市町だと量がまかなえても、政令指定都市となると量的に難しいケースが多く、費用についても保護者の給食費でまかなっているため、通常の食材と同程度の単価でないと給食での使用は難しいということです。
同審議会会長の清水公美子さんは、こうした課題を解決するために「オーガニックの農産物が収穫できない場合には、減農薬や慣行農産物を代品とするなどのフレキシブルな仕組みづくりが必要。献立の統一性にこだわるからこその課題でもあるので、学校や地区ごとに献立を立てるなどの対応も求められる」と話します。今後は、給食関係者との対話を続けながら、まずは年1回のオーガニック給食の日を目指し、徐々に回数を増やしていきたいということです。