フジテレビ親会社 大幅な減収見込み “約1万社の取引先”に不安広がる
30日、フジテレビと親会社が新体制後、初めての取締役会を開催し、再発防止やフジテレビの再生に向けた委員会の設置などを決定。また、親会社の今年度の最終利益は当初の予想の3分の1となる98億円で、前年度から約270億円減る見込みだと発表しました。フジテレビ内のみならず、約1万社あるという取引先には不安が広がっています。
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30日午後10時すぎ、フジテレビの遠藤副会長が取材に答えました。
──(清水社長が)第三者委の報告後に、取締役全員の刷新を検討すると。遠藤副会長も、その考えには同意?
フジテレビ 遠藤龍之介副会長
「私も会見で同様の趣旨のことを申し上げていた」
──全ての取締役は日枝氏も含まれる?
フジテレビ 遠藤龍之介副会長
「全ての取締役ですね」
──そういう理解で間違いない?
フジテレビ 遠藤龍之介副会長
「全ての取締役だと思います」
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30日午後5時すぎ。
フジテレビ 清水賢治新社長
「経営刷新小委員会の設置。これについての設置を協議して、承認いたしました」
30日、フジテレビと親会社が開催したのは、新経営陣になって初めての取締役会。そこでは再発防止やフジテレビの再生に向けた委員会の設置などを決定しました。
フジテレビ 清水賢治新社長
「いますぐできることは1つずつ、やっていかなければいけないと思っています。先ほど決まったことというのは、それぞれの第一歩となる案だと思っています」
30日午前、取締役会に先立って取材に応じた際には…。
フジテレビ 清水賢治新社長
「(社外取締役は)経営陣の刷新といいますか、人事の透明さと説明責任を求めていらっしゃると思いますが、全役員が対象であるというふうには考えております」
──日枝さんとかも含めて?
フジテレビ 清水賢治新社長
「全取締役だと思っていますが」
いまもフジテレビで強い影響力を持つとされる日枝久取締役相談役(87)。清水社長は経営陣の刷新について、自分自身や日枝氏も含めた全役員が対象となるとの考えを明らかにしました。
──日枝さんは出席したか? 発言はあったか?
フジテレビ 清水賢治新社長(午後5時すぎ)
「出席されています。発言内容については、ここでは詳細控えさせていただきます」
──発言はしたか?
フジテレビ 清水賢治新社長(午後5時すぎ)
「発言はございました」
30日夜、取材に応じた出席者の1人によると、日枝氏は元気な様子を見せていたといいます。また、清水社長によると、日枝氏から辞任についての言及はなかったということです。
取締役会では、週刊文春の記事訂正への対応も話題にあがったといい、先ほどの出席者は「『何で会見の前に公表しなかったのか』といろんな人が話していた」といいます。
清水社長も…。
フジテレビ 清水賢治新社長
「一様に非常に厳しい意見が多かったです。やっぱりもう少し、きちっとした対応が必要なのではないかなと」
──今後、場合によっては訴訟も考える?
フジテレビ 清水賢治新社長
「いまあらゆる選択肢が検討のもとにあります」
週刊文春に対する訴訟の可能性も否定しませんでした。そして、業績についての言及も。
フジテレビ 清水賢治新社長
「いま(CMを)AC差し替えしています。それに伴ってフジテレビの今期の業績見込みが大幅に変わりますので、減益となりますから」
フジテレビではCMの差し替えをするスポンサーが相次ぎ、その数、約75社(今月20日時点)となっていて、“やり直し会見”後もその流れは止まらず。複数の企業からは「第三者委員会の報告を待たないと、CM再開は難しい」という声も。
こうした影響などから、親会社の今年度の最終利益は当初の予想の3分の1となる98億円で、前年度から約270億円減る見込みだと発表されました。
会社の業績への不安も広がるなか、清水社長が30日に社員に向けてメールを送っていたことが明らかに。
清水賢治新社長(社員に向けたメール)
「フジテレビは急激な業績の落ち込みにも耐えられる経営基盤を持っている。まずは安心して、未来に向けて取り組んでいただきたい」
“フジテレビは急激な業績の落ち込みにも耐えられる”と呼びかけました。
ただ、先日の会見(27日)ではこんな質問が。
──中小の代理店もあるかと思う。あるいは番組制作の会社など、関連するビジネスパートナーである会社が倒産する可能性は?
フジテレビ 清水賢治新社長
「どのように影響を最小限に抑えていくのか、みなさまにかけるご迷惑をどの程度まで軽減できるのかということについては、真摯(しんし)に取り組んでいきたい」
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東京商工リサーチによると、フジ・メディア・HDのグループ会社の国内取引先数は約1万社。フジテレビ以外の関連企業に与える影響の規模は、極めて大きいといいます。
東京商工リサーチ 情報本部課長 後藤賢治氏
「(約1万社のうち)多くが中小零細企業だということなので、小規模の企業にとって一番怖いのは、突発的に受注がなくなる、急減してしまうのが一番厳しい経営になってしまうので、フジテレビに売上高が依存している比率が高い企業は、資金繰りの急変で倒産を余儀なくされるケースも出てくるおそれはある」
場合によっては、第三者委員会の報告のめどとなっている3月末まで、持ちこたえられない企業も出てくるといいます。
東京商工リサーチ 情報本部課長 後藤賢治氏
「第三者委員会で本当に収まるのか、それとも他に影響が広まっていくのかはまだまだ見えないので、取引先としてはどう対応していいかわからない、というのが現実だと思う」
(1月30日放送『news zero』より)