農業現場に高校生の力 AI技術で栽培の悩み解決 金福すいかの“尻割れ”防止 ポイントは水分量? 福井市の特産
福井市の特産「金福すいか」。贈答品としても人気で、品種改良してより甘さが増しました。一方、尻の部分が割れて売り物にならないケースもあり、農家の悩みの種となっています。そこで立ち上がったのは、未来の担い手となる高校生たち。最新技術を活用して課題解決に取り組んでいます。
福井農林高校では、生物生産科の生徒たちが「金福すいか」の栽培を続けていて、今シーズンは4月下旬に新品種の苗を150本植え、今が収穫のピークです。
■福井農林高校 生物生産科3年 木下健太さん
「割れが入っちゃうと品質が落ちちゃうんで。きれいな状態の実はしっかり詰まってていい感じ」
去年、品種改良してより甘さの増した「金福すいか」。しかし、尻割れの被害が相次ぎ、出荷数は目標を大きく下回りました。この被害を減らそうと、高校ではあるポイントに着目しました。
■福井農林高校 大田光宣教諭
「スイカは(受粉から)20日前後が肥大期なんですけど、その時期の水分量のバランスを間違えてしまうと割れやすいのかなと」
水のやりすぎなどによって、スイカの内部が急激に成長し、外側の皮の成長が追い付かない場合に、尻割れが発生するのではないかとみられています。
生産農家は、経験をもとに“農家の勘”で与える水分の量を判断していますが、人の感覚ではどうしてもばらつきが出てしまいます。そこで導入したのが、人工知能(AI)です。
天候や気温などのデータをもとに、AIが必要な水分量を判断し、水と養分を自動で供給することで、土壌の水分量を常に35%から40%に保って栽培しました。
■福井農林高校 生物生産科3年 木下健太さん
「AIのかん水技術によって、(割れが)比較的少ないとは非常に感じる」
今年収穫した250玉のうち、尻割れの被害はわずか10個程度に抑えられました。
■福井農林高校 生物生産科3年 向井結人さん
「割れで商品価値なくなって、売れなくなることが少なくなるので、少しは助けになるのかなと」
■福井農林高校 生物生産科3年 木下健太さん
「若い高校生が、福井の農業に活躍できるということを証明して、金福すいかを福井県一のスイカにしたい」
未来の担い手による問題解決の新たな取り組み。高校では今後、AIの活用で得られたデータを農家にも提供し、品質向上に役立ててもらうことにしています。