生存者救出の瞬間 福井市消防局の隊員語る 珠洲市の過酷な現場から帰福
能登半島地震で大きな被害を受けた珠洲市で生存者の救出にあたった福井市消防局の隊員らが過酷な現場の様子を語りました。(1月12日)
■福井県大隊 統合機動部隊・髙田木克次部隊長
「1階部分がつぶれているということで、行方不明者の検索活動が困難になるなと感じました」
福井市消防局の隊員ら17人は、統合機動部隊として17時間かけて珠洲市に向かい、2日から4日まで倒壊家屋で住民の救助にあたりました。
■福井県大隊 統合機動部隊・吉村貞彦消防司令
「2階の屋根を開放して侵入。そこから床をチェーンソーとかで開放して1階部分に侵入しました。非常に困難でした」
携帯電話が通じない中、隊員たちは地元区長の情報をもとに、どの家に誰が住んでいるのかを確認してがれきの中から10人を救助しました。
■福井県大隊 統合機動部隊・吉村貞彦消防司令
「発見した場合はだいたい柱とかに押しつぶされている、挟まっている状況だったので、それを切断器具で切断して開放して狭い所を引きずって出してきたという状況」
過酷な状況の中、地震発生から46時間後。がれきの中に右腕が見えました。
■福井県大隊 統合機動部隊・吉村貞彦消防司令
「隊員が触って握り返してくださいと言うと握り返してきた。あ、生きてると。生存していると(思った)」
生存者が見つからず、隊員の間に重苦しい空気が流れていた中、救出に向けて一気に士気が高まったと言います。
■福井県大隊 統合機動部隊・髙田木克次部隊長
「生存していることが確認できたので安堵の声が上がった」
■福井県大隊 統合機動部隊・吉村貞彦消防司令
「(生存者の)息子さんも現場にいたので『ほんとにありがとうございます』と感謝の言葉をいただきました」
救出した10人のうち、生存者は90代の女性1人だけでした。隊員たちは捜索にあたって地域コミュニティのつながりが重要だと感じたと話します。
■福井県大隊 統合機動部隊・吉村貞彦消防司令
「都会だと隣に何人住んでるかとか名前とか分からない状況だけど、能登は知ってるのでその点は情報共有できた。(地震が)発生した時は地元の人たちはまたかと、また地震かという軽い気持ちだったそうです。2回目で倒壊したので、1回目で避難していればここまで甚大な被害にはならなかったのかなと(話していた)」
被災者の心理から学ぶべき教訓。もし福井で同じような地震が起きたら…。どのように行動するか考えておくことが重要です。