【特集】開店直後に狙うのは特価品 突然のタイムセールと買い物客が参加する競り サッカーコート2面分に肉・鮮魚・野菜 肉は1日1トンを売り上げる!金土日だけのスーパー「びっくり市」の魅力 福岡
スーパーマーケットというと毎日営業しているイメージがあると思いますが、福岡県直方(のおがた)市に、営業は週末の3日間のみというスーパーがあります。そこには、ある“びっくり”の理由がありました。
石炭産業の中心地として栄えた筑豊地方にある福岡県直方市のスーパー、その名は「びっくり市」です。営業日は金土日の週3日だけです。1日1万人は訪れるというその魅力に迫りました。
■買い物客
「ここに来たらワクワク・ドキドキが止まらない。」
「楽しいです、遊園地みたいな感じで。」
■吉村史織アナウンサー
「午前9時、開店時間を迎えました。どんな物が売られているんでしょうか。」
開店と同時にお客さんが一目散に向かったのは、賞味期限が迫った特価品のコーナーです。
■吉村アナウンサー
「まだ開店から数分なんですが、飛ぶようにこのコーナーの商品が売れていきます。」
この日は、人気のプリンや飲むヨーグルトなど100円以下で売られていました。
すると今度は、突然タイムセールが始まりました。
■店員
「今からタイムサービスです。」
通常価格269円の牛乳パックが、1本100円という驚きの価格設定です。金曜日はさらにレジで1割引きで、1本90円になります。しかも、1人いくつまでという制限もありません。
■買い物客
「うれしい、安く買えると。きょう一日幸せ。」
予告無しのタイムセールは、行き先がなくなった在庫に目をつけ、大量に安く仕入れたものです。この日、200本用意された牛乳パックはわずか7分で売り切れました。
びっくり市は精肉・鮮魚から野菜まで、サッカーコート2面分の広さに28のテナントが入っています。
生花店でメダカを売っていたり、果物の店の前で餅つきをしていたりします。
鮮魚コーナーの一角にできた長い列の先には、1日1万本以上は売れるという焼き鳥、皮・モモ・そして豚バラなど30種類以上あります。人気の秘密はうなぎのタレです。甘めの濃厚なタレが肉によく絡むと評判です。
びっくり市はまさに"食のワンダーランド"といったところです。
■びっくり市・諫山省吾 館長
「とにかく楽しんで買い物していただきたい。エンタメ性も必要。そこが、よそにはない魅力。」
1976年に精肉工場を開放したのが始まり
かつて、卸売用の精肉工場だったびっくり市は、近隣の要望を受け、工場を土曜限定で開放したことから誕生しました。
そのため、肉売り場が充実しています。商品数は1500点以上あり、1日に売り上げる肉の量はなんと1トンです。
なかでも評判なのが、重量1キロの手づくりハンバーグ、999円です。
■吉村アナウンサー
「これ、すごい。」
オーストラリア産牛や国産牛・国産豚に和牛の脂を混ぜ、パン粉や乾燥ネギと調味料を一緒に練り込んでいるので味付け不要です。100グラムのハンバーグに小分けして焼くと10人分が作れます。
■びっくり市 精肉担当・仲野 翔さん
「びっくりしてもらうのが一番の目的。」
■吉村アナウンサー
「びっくり市、2日目です。土曜日の最初はこちら、朝市からスタートします。」
2日目の土曜日もびっくりすることがいっぱいです。
午後1時ごろ、特設会場に人だかりができていました。そこで始まったのは、客が参加する肉の競りです。
■店員
「肉ケーキ。肉をケーキに見立てて。これを競り落としていただきたいと思います。」
客が競り合い、お得に落札するという不定期の人気イベントです。まず競りにかけられるのは、1万2000円相当の鹿児島黒牛およそ1キロです。
■店員
「500円からスタート。」
■買い物客
「800円。」
「3000円。」
■店員
「3000円。ほか、いませんか?」
■買い物客
「7000円。」
「8000円。」
■店員
「8000円、よろしいですか。それでは8000円でハンマープライス。」
一番高い値をつけた人が落札します。吉村アナウンサーも競りに参加しました。狙っていたのは、8000円相当の宮崎県産牛1.2キロです。
■店員
「3000円、いませんか?」
■吉村アナウンサー
「4000円。」
■別の買い物客
「5000円。」
■吉村アナウンサー
「5200円。」
■店員
「5200円。5200円でハンマープライス。」
最終日の日曜日は「売り尽くし」
やりました。3割引きの5200円で落札しました。
■吉村アナウンサー
「これは何ですか。」
■店員
「おまけ。」
焼き肉のタレと鶏鍋のダシなど、およそ2000円相当がおまけです。
■吉村アナウンサー
「夫の誕生日会をきょう、やろうと思ったのですが、これだけ安く競り落とせたことは秘密にしたいと思います。」
最終日曜日は売り尽くしセールです。びっくり市は、月曜日から木曜日まで営業がないため、生鮮食品を売れ残すと廃棄処分となってしまうのです。
■店員
「あした休みなので、こちら売り尽くします。一箱1000円でいいですよ。」
ブランドの糸島のカキが1箱10㎏で1000円など、どれでも1パック1000円で販売されていました。
■買い物客
「すごいですね。びっくり、びっくり。」
午後5時になると、ほとんどの商品が半額となる売り尽くしセールが始まりました。店員が貼る半額シールのそばから、すぐにお客さんの手が伸びてきます。
■店員
「まだ引いてない(割引シールを貼ってない)ですよ、それ。」
「(シールを)貼ってからでお願いします。」
鮮魚コーナーでも。
■店員
「最後です。2個で1200円になりましたよ。」
さらに。
■店員
「5個で2500円です。」
250円だったブリの“あら”は。
■店員
「 “あら”10円、“あら”10円。なくなったら終わり。」
閉店まで1時間を残し、すべて売り切ってしまいました。
■諫山 館長
「価格が安いということと、毎週売り尽くすことで、(次の)金曜日に新しい物がそろう。きれいに循環していくので、両方お得。」
福岡県直方市で愛されているびっくり市は、ちょっとやりすぎのスーパーでした。