【燃料価格】「きょう満タンに」ガソリンスタンドで駆け込み給油 16日から補助金さらに縮小 灯油も値上げ ノリ漁にも打撃 今後の見通しは
ガソリンなど燃料価格の高騰を抑えるための補助金が、2024年12月に続き、16日からさらに縮小されます。これにより、ガソリンや灯油などが一段と値上がりするとみられ、市民生活に大きな影響を及ぼしそうです。
15日、福岡市内のガソリンスタンドを訪ねました。
■元木寛人アナウンサー
「きょうも途切れることなく続々とお客さんがやってきて、給油をしています。」
普段よりも多くの人が給油に訪れていました。そのわけは。
■利用客
「(ガソリンスタンドから)LINEで案内が来てた。あしたから上がるって教えていただいていたので。きょうなんとか満タンにしておかなくちゃと思って。」
■元木アナウンサー
「給油をする場所には、ガソリン、灯油など、段階的に補助金を引き下げるとのお知らせが掲示されています。」
2022年1月、ロシアによるウクライナ侵攻などによる原油価格高騰を受け、政府は緊急避難的な措置として、燃料油の価格を抑えるための補助金を出していました。
この補助金によって、ガソリン価格は175円前後に抑えられていましたが、政府は2024年12月、財源を確保できないなどの理由で補助金を縮小しました。
16日からはさらに縮小され、価格が185円ほどに上がる可能性があります。
このガソリンスタンドでは、15日には1リットルあたり179円で販売していたレギュラーガソリンを、16日からは184円に値上げするとしています。前月と比べると10円の値上げです。
■利用客
「結構厳しい。食費を削るしかないです。」
「どうしようもない。燃料代は削られないから。」
■サービスステーション博多麦野店・塚本英介 店長
「できるだけ(価格を)上げずにとは思っているんですが、企業努力でカバーできない部分は上げざるを得ないのかなと思います。」
補助金縮小の影響はガソリン以外にもありました。北九州市八幡東区を走るのは、灯油の移動販売車です。今シーズンの灯油の販売価格は、1缶18リットルで配達料を含め2300円です。以前は2100円でしたが、12月に100円値上げし、1月もさらに100円の値上げに踏み切りました。
■宅配灯油の案山子屋・山田遼太郎さん
「補助金が段階的になくなってきて、そのタイミングでうちも100円ずつ上がっていきました。」
このところの寒さで、この日だけでも100件ほどの注文が入っていましたが、消費者の財布にも冷たい風が吹き込みます。
■利用客
「上がるとか下がるといっても必需品だから、高くなってもいただきますよ。」
「(値上げは)しょうがないですよね。全体的に値上がり傾向にあるから。」
■山田さん
「今のところ(今後は)これ以上、上がる予定はなく、うちがもう頑張るしかないですよね。これ以上、上げたら、お客さんが耐えられなくなると思うので。」
佐賀市の漁港です。有明海でノリ漁を行う古川嘉啓さん。乗っている漁船の燃料は軽油です。
補助金の縮小を受け、佐賀県有明海漁業協同組合は、軽油などの燃料を16日から1リットルあたり6円値上げすることを決めました。
収穫で漁船を出す機会が多いこの時期、打撃は大きいといいます。
■ノリ漁業者・古川嘉啓さん
「結構な量を使うので、金額的にものすごく経費がかかります。なるべく(1隻の漁船に)乗り合わせて削減するけど、値上げの方が大きいです。」
それだけではありません。ノリの乾燥機の燃料に使われている重油も、16日から6円の値上げです。1日に使う燃料は多い時で700リットル。単純計算で4200円の負担増です。
■ノリ漁業者・藤川直樹さん
「生産数が上がった分だけ燃料が上がるので大変です。小さい値上げでも支払い時には月単位でくるので大変です。」
16日から影響が出てくるとされる燃料価格の値上げ。影響は今後さらに大きくなりそうです。
ガソリンなどの補助金は段階的に縮小され、その分が価格に上乗せされています。
2024年12月下旬の補助金縮小で、レギュラーガソリンの小売価格は1リットルあたり5円程度上がっていましたが、16日からの縮小でさらに5円程度上がる見通しです。
気になる今後についてですが、資源エネルギー庁の担当者は「政治情勢にもよるが、全国平均で1リットルあたり185円ほどの価格水準がしばらくは続くのではないか」と話していました。