【新札発行が迫る】北九州にもゆかりの渋沢栄一が1万円札に 券売機の会社では半年待ち 定食店は入れ替え費用が負担に JR・西鉄の対応は 福岡
20年ぶりとなる新しいお札の発行まで1か月を切りました。福岡でも準備が進められる一方、その対応に困惑しているところもあるようです。
6日、北九州市戸畑区にある九州工業大学を訪ねました。
■九州工業大学・用正拓人 総務人事課長
「こちらが渋沢栄一の書です。」
新1万円札の顔となる実業家、渋沢栄一の書が一般公開されていました。
■用正課長
「人間は多くのことをいろいろしゃべるよりも、まずは行動をもって示すべきだと。」
北九州ともゆかりがあった渋沢栄一。1914年に九工大の前身となる学校で講演した記念に書を送ったとされています。
■中村安里フィールドキャスター
「こちらは大学を訪れた偉人たちの名前が書かれている芳名録です。大正3年6月5日には渋沢栄一のサインがあります。」
■用正課長
「我々のゆかりのある方が使われるというのは非常に誇らしいですし、喜ばしいと思っています。」
7月から発行される新しい3種類のお札を改めて見ていきます。
▽新1万円札の肖像は「近代日本経済の父」多くの企業の設立に関わった渋沢栄一。
▽新5千円札は女子教育の先駆者と言われ、津田塾大学を創立した津田梅子。
▽新千円札は、破傷風の治療法を確立するなど医学の発展に貢献した北里柴三郎です。
傾けると小さな図柄が変化する、世界で初めての「3Dホログラム」など、新たな偽造防止技術を取り入れました。
デザインの変更は、2004年以来、20年ぶりです。
■街の人
「いい人物を選んでいる。(今の紙幣を)記念にとっていたら将来高くなるんだろうか。」
「写真に撮っておきたいなと思いますね、一応思い出に。」
「諭吉が、とか言えなくなるね。栄一か。」
「機械で対応しないものが出てきそうだから、最初の方は大変そう。」
新札の発行をおよそ1か月後に控え、福岡県新宮町の券売機を販売する会社には今、注文が殺到しているといいます。
■自動サービス 営業部・桜井成晃 主任
「こちらが納品待ちの券売機です。」
この会社の取り引き先は九州一円の飲食店などで、通常は注文から1か月程度で納品できますが、今は最大で半年程度かかるといいます。現在、100台以上の入荷を待っている状態です。
■桜井 主任
「飲食店がかなりの数増えて、それに伴って券売機を利用する数もかなり増えて、需要と供給のギャップが出ている。」
注文数は去年の4~5倍に上っていて、納期に時間がかかる状態は年内いっぱい続くと見られています。
定食店は券売機の入れ替えを断念
一方、こちらは福岡市城南区の定食店です。ランチタイムには、安くてボリュームたっぷりの定食を求める大学生や地元の人でにぎわいます。
■吉村史織フィールドキャスター
「訪れる人が必ず利用するのが券売機です。6年前の開店の時から使っているものだそうです。」
新札に対応するには券売機も入れ替えが必要だといいますが、問題はその費用です。
■しっとう家 福大店・橋本直樹 店長
「さすがに200万円超えるとなると無理です。米も上がった、野菜も上がった、肉も上がった、もう全て上がっています。」
物価高で食材の仕入れ値も上がる中で、メニューの値段を据え置くために、券売機の入れ替えは行わないことを決めました。
新札が流通するようになったら店内で古いお札に交換し、今の券売機を使ってもらう予定です。
■橋本店長
「確かに両替の手間を考えると変えたいなというのはありますが、安くおなかいっぱい食べてほしいので、とりあえずやっていこうって頑張っています。」
それでは、新札に対応した機械の更新状況を見てみます。
日本自動販売システム機械工業会によりますと、全国の金融機関ATMは、新しいお札の発行までに全て更新を終える見通しです。
一方で、コインパーキングや飲食店などの券売機は5割ほど、自動販売機は2~3割にとどまる見込みです。
また、JR九州は7月をめどに駅の券売機を取り替える予定です。
西鉄は、バスの運賃箱の取り替えを両替頻度の高い営業所から順次行っていくとしています。