【マイナス金利解除】新社会人は期待 地元銀行トップ「大変いい流れができる」住宅ローンの選択はどうする 福岡
日本銀行は19日、8年ぶりに「マイナス金利」を解除することを決めました。「マイナス金利」というのは、日銀が2016年に始めた、景気を上向かせようという政策です。今回の決定による効果について、福岡の街からは慎重な声が上がっています。
19日午後3時半、日本銀行の植田総裁は会見でマイナス金利の解除に踏み切った理由を説明しました。
■日本銀行・植田総裁
「先行き見通し期間終盤にかけて、物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況になったと判断しました。」
今回の決定を後押ししたのが「賃上げ」です。連合が先週発表した春闘の回答状況で、平均賃上げ率は5%を越える高い水準となりました。
19日、福岡大学で開かれた卒業式で、4月から“新社会人”となる卒業生からは、賃上げを実感し新生活への期待の声が聞かれました。
■山口の銀行に就職
「学生のうちはバイトとかで賄っていたが給料も低くて大変だった。(賃上げで)年収が上がったことで、金銭的にもちょっと安心できるなと思いました。」
■福岡の銀行に就職
「自分の会社は上がってきていて、(1学年下の)25年卒もだいぶ上がっているみたいで。めちゃくちゃうれしいです。」
マイナス金利の解除は実に8年ぶりです。今後、預金の金利が上がることが期待されますが。
■主婦(50代)
「金利7.0パーセントのときもあったので。知ってる方は利息で遊ぶという時代でしたからね。昔みたいにいかないと思うのですが、少しは期待したいと思っています。」
■建築業界(50代)
「あんまり(金利は)極端には上がらんのじゃないですかね。」
一方、経営者からは、金利が上がることへの懸念の声も聞かれました。
■経営者(50代)
「(金融機関は)お金を持っているところに貸すのではないか、確実なところに。その辺を緩くする感じはない。むしろ格差が激しくなるのではと感じていますね。難しくなる一方ではないですかね。」
西日本シティ銀行のトップは、期待感を示しました。
■西日本シティ銀行・谷川浩道会長
「いままで日銀の金融政策が円安の大きな要因となって、中小企業や庶民を苦しめてきた。それが逆の方向に動いていくというのは大変いい流れがこれからできると思っています。」
今後、金利の上昇の影響が見込まれるのが、住宅メーカーです。いま、ある相談が増えているといいます。
■オープンハウス福岡支社・吉田圭吾さん
「返済する金額が増えるのではないかと心配されて、住宅ローンの相談をいただく機会が多くなっています。金利が上がるのだったら(オプションなど)付けるものを少し安くするとか、逆に今だから付ける分だけ付けるとういうような金利の上昇に対する反応もお客様でさまざまです。」
市場関係者から「日本の金融政策の大きな転換点になった」との声も上がる今回の決定で、私たちの暮らしにも変化の兆しが見え始めています。
VTRにもありましたが、日銀のマイナス金利解除で、悩ましい選択となりそうなのが住宅ローンです。
住宅ローンには、返済期間中に適用金利が上がり下がりする可能性がある「変動金利型」と、適用金利が一定の「固定金利型」があります。
実に7割の人が「変動金利型」でローンを組んでいるといわれています。では、マイナス金利が解除され、この「変動金利型」だとどうなるかシミュレーションしてみました。
借入金額が3000万円で、35年ローンの金利0.345%で年間の返済額が91万56円の場合、ここから金利が仮に0.5%上がった場合、返済額は年間99万420円と8万円ほど上がることになります。
となると、適用金利が一定の「固定金利型」がいいのかどうかと悩ましい選択となりそうです。
オープンハウスの吉田さんによりますと、業界の見通しとして、住宅ローン金利は急激には上がらないのではという見方が広がっているということです。