福岡出身のトシ・カプチーノさん「正直に生きることはこんなに楽しい」ニューヨークを拠点に歌い輝く
こちらの男性は福岡市出身で、ニューヨークを拠点に活動するキャバレーシンガーです。ゲイであることを公表し、世界各地で歌声を披露する男性は、還暦を過ぎた今が一番輝いていると話します。
誰もが知っている歌謡曲からブロードウェイミュージカルまで歌いこなす、福岡出身のキャバレーシンガー、平野利光さん(62)、通称=トシ・カプチーノさんです。
トシさんはニューヨークを拠点に、世界各地でショーを開いています。今回、日本での公演のため福岡に帰省しました。
■トシ・カプチーノさん
「僕、これ。」
トシさんが見せてくれたのは幼少時代のアルバムです。姉と2人きょうだい、家族からは“トシ坊”と呼ばれていました。
■トシさん
「この時くらいから、自分がゲイだっていうのが何となく分かっている時期で、表情に出ているんですよね。」
子ども時代のトシさんは、ゲイであることに悩んでいました。
■トシさん
「人にも言えないし、家族にも言えないし。友達にも先生にも言えない。自分の中でずっとためていくわけですよ。一番辛い時期でしたよね、“オカマ”って言われて。」
実家では母親と水入らずで過ごします。
■母・ハマエさん(89)
「きょうはえらい目がきれい。」
(トシさんの姿は慣れましたか?)
「慣れました。寒かろうね。」
母の目に映っているのは、今も変わらない“トシ坊”の姿です。ただ、息子がゲイだと認めるまでは数年かかったといいます。
■ハマエさん
「考え出すと朝まで寝られないし。うらやましかったんですよ、よその子どもさんに対してね。」
この日、トシさんが向かったのは福岡市内の神社です。1時間半のステージで最高のパフォーマンスを届けるためのお気に入りの練習場所です。
10代のころは歌手を目指して、多くのオーディションに参加しました。しかし、ゲイだとばれるのを恐れ、本来の自分を見せられずに深く心を傷つけられたこともあったといいます。
■トシさん
「ビール瓶飛んできたんですよ。僕の存在が認められないっていう。絶望しかなかったです。」
転機は31歳の時です。
■トシさん
「(ニューヨークでは)みんな手つないでいるし、キスしているし、ハグしているし。みんな人間らしい生活をしていて、なんていうところなんだと。“ここが俺の街たーい”って思っちゃったんですよ。」
移り住んだニューヨークでは、自分のセクシャリティを隠す必要がありませんでした。
■トシさん
「アイラブユー。」
■パートナーのタッドさん
「アイラブユーソーマッチ。」
ゲイであることを公表し、2014年にはパートナーと同性婚を果たしました。
■トシさん
「ほれられているのよ、私は。自分に正直に生きることが、こんなに幸せなのかって実感していますね。」
ショーでも、素直な思いを伝えます。
■トシさん
「己(おのれ)に正直になるために来たニューヨーク。夢と希望、人混みになる五番街。」
■日本のファン
「すごいです。とにかく声量が。一度トシさんの公演を見たら、みんなまた行きたいっていう気持ちになる。」
今では母、ハマエさんも息子の活躍を楽しみにしています。
■ハマエさん
「感動したですよ、よか息子さんですねって言うから、それがやっぱりうれしいですよ。」
■トシさん
「自由に生きること、正直に生きることが、こんなに楽しいんだっていうことを感じていただければバッチリ大成功と思っています。」
62歳のシンガー、トシさん。自分らしくいられる場所、そして大切な人と出会い、今、一番輝いています。
トシさんの20周年の記念公演は3月3日(日)、福岡市中央区警固のカイタックスクエアガーデンウエストサイド3Fで開かれます。※FBSめんたいワイド2月29日放送