特集「キャッチ」育児疲れの悲痛な叫び「少しでも離れたい」1泊2日から家庭で預かる「里親ショートステイ」で支える 福岡
■女の子
「もー。」
■里親の男性
「色がわからんごとなる。」
■女の子
「これ違う。」
■里親の男性
「え?」
6歳と3歳のきょうだいを、ほほえみながら見守る夫婦。家族のように見えますが、この夫婦は実の親ではなく、子どもたちを預かっている「里親」です。ただ、長期にわたって育てているわけではありません。
■里親・吉光由樹子さん
「1泊とか2泊くらいが多いのですが、定期的に月1回とか2回とか来てくれているから、孫が遊びに来てくれているような。」
これは、2年前から福岡市とNPOが連携して始めた「里親ショートステイ」という子育て支援サービスです。
本来、里親制度は、様々な事情で家族と離れて暮らす子どもを里親が家庭内で預かる制度で、子どもが自立するまでなど、長期間預かることを前提としています。
一方、「里親ショートステイ」は、1泊2日から6泊7日という短期間の預かりです。仕事や病気など、一時的に子育てが困難になった親が対象で、生活保護の受給世帯と住民税が非課税の世帯、ひとり親世帯は無料で利用できます。
■吉光さん
「子育てを母親一人、父親一人でするのはすごく大変なところもあると思うから、みんなで子育てしようという、その一つとして(里親)ショートステイというのはすごくいいなと思いました。」
福岡市で初めてこの仕組みをつくったのは、NPO法人「SOS子どもの村JAPAN」です。福岡市西区の施設「子どもの村」で、家族と離れて暮らす子どもたちを受け入れています。施設で短期預かりも受け入れていますが、定員を超えるほどの申し込みがあり、これまで多くを断らざるを得なかったといいます。
■SOS子どもの村JAPAN 統括相談支援員・橋本愛美さん
「当時、ほとんど(申し込みを)受けることができなくて、お断りをした方の大半が、かなり厳しい育児疲れで泣きながらお電話をしてくる。子どもをたたきそうですとか、子どもと少しでも離れたいですと、本当に悲痛な助けを求めるような依頼があったにもかかわらず、ほとんど断らないといけないという状況がありました。」
子育てする親たちの疲弊と孤独。福岡市の児童館で話を聞くと、多くの親が同じつらさを感じていました。
■母親
「つい閉じこもってしまって、この子も外に出してあげられないし、自分もどんどん、うつうつとしたメンタルになってきてしまう。やっぱり1対1の状態だからじゃないですかね。大人としゃべらないみたいなことが続くと。」
「(子どもが)夜寝ない時があるので、こっちも疲れているし、しないといけないこともたくさんあるのに、時間通りに寝てくれない時は結構疲れるなと思っています。」