特集「キャッチ」大雨で土砂が流れ込んだ温泉施設「みのう山荘」は今 再建へ険しい道のり 復活を待つ常連客も 福岡
■みのう山荘 店長・安井那称子さん(29)
「1年たって自分の中ではめまぐるしく、いろんなことが変わっていって、早かったです。」
山肌がむき出しとなった場所に立つ安井那称子(ななこ)さん(29)。1年前までは、ここにあった職場に通うのが当たり前の日々でした。
日帰り温泉施設、久留米市の「みのう山荘」。筑後平野を一望できる、源泉掛け流しの展望露天風呂が人気で、20年にわたり観光客や地元の人に愛されていました。安井さんはおよそ3年前から店長を任されていました。
しかし、2023年7月10日。記録的な大雨で、久留米市の山間部で土石流が発生し、1人が亡くなるなど甚大な被害が出ました。
みのう山荘も裏山が崩れ、流れ込んだ土砂に浴場を破壊され、休業を余儀なくされました。
あの日から10か月がたった2024年5月、施設の解体は終盤にさしかかり、崩れた裏山の整地作業が行われていました。
■安井さん
「特にここの一番大きかった建物を取り壊す時は、自分が毎日働いていた場所だったので、すごく寂しい気持ちの方が強かった。工事が進んでくるにつれて、逆に何もなくすっきりなってくると、先に進んでいるなという気持ちの方が強くなってきたので、今は前向きな気持ちです。」
一方で、大雨の被害に遭ったこの場所で再び営業していいものか、不安がよぎるといいます。
■安井さん
「また、去年の10日みたいな大雨がことしも降るのかなとか想像すると、ここで再建をした後にまた大雨が降って被害が出ないかなとか、やっぱり考えてしまう。」
行政が主体となって行った建物の解体と整地の作業は、7月中に終わる見通しです。その後、施設を再建することになりますが、行政から安全性が認められ「建築許可」が降りるかどうかは、今のところ未知数です。さらに。
■安井さん
「現実的な問題、費用面で苦戦しているところがあるので。」
施設の再建には少なくとも1億円以上はかかると見込まれています。2024年2月末までに再建が完了すれば費用の3分の2が福岡県から補助されますが、それ以降になると全額が自己負担となります。
施設の解体には久留米市から補助金が出たものの、営業できず売り上げが途絶えた中で、経済的な負担が重くのししかかります。