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「溶連菌」福岡で警報レベル “人食いバクテリア”はまれだが溶連菌感染者に比例して増加 注意点は

2024年1月29日 18:16
「溶連菌」福岡で警報レベル “人食いバクテリア”はまれだが溶連菌感染者に比例して増加 注意点は
「溶連菌」福岡県で警報レベル

福岡県で、発熱やのどの痛みなどを引き起こす「溶連菌」の感染が、子どもの間で広がっています。飛まつで感染することから、医療機関では手洗いやうがいなど、基本的な感染対策の徹底を呼びかけています。

■元木寛人フィールドキャスター
「こちらではいま溶連菌の疑いがあるとして、診察を受けています。」

■診察
「のど、赤いは赤いですね。リンパ節もちょっと腫れているね。」

子どもに多い感染症であるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎、いわゆる「溶連菌」は発症すると発熱やのどの痛み、舌にブツブツができる「苺舌(いちごぜつ)」になることもあります。

■息子(3)が受診
「おいが溶連菌だったので、もしかしてと思って病院に来ました。」

■娘(2)が受診
「(体温が)ずっと38度台で、朝じんましんが出てきたので。溶連菌に感染していると言われた。抗生剤を10日以上飲まないといけない。途中で辞めるとまたぶり返すそうなので。」

福岡県によりますと、1月15日から1週間の1医療機関あたりの溶連菌の感染者は8.08人で、警報レベルの8人を上回っています。

こちらのクリニックでも、1月22日から28日までの患者数は、前の週の3倍に増えています。その多くが小学校低学年までの子どもたちです。

■しんどう小児科・進藤静生 院長
「幼稚園から小学校にかけて、つばによる感染などコンタクトが強くなるような場所で感染しやすいので、学校が始まったりすると患者さんの数が増えてきます。」

溶連菌は、つばやせきなどの飛沫で感染することから、学校など人の集まる場所や家庭内でも広がるため、医療機関は基本的な感染対策が重要だと話します。

■進藤 院長
「インフルエンザとか新型コロナと一緒で、あまり人混みに出歩かない。人混みとか外出から帰ってくると、石けんで手を洗って、うがいをしっかり行うことが、いろんな病気の予防にもつながる。」

福岡県によりますと、今の「警報レベル」は今後も続く可能性があるとみていて、注意を呼びかけています。

この溶連菌が引き起こすものの中に、「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」があります。致死率は約30パーセントと高く、発症すると手や足が壊死することがあり、「人食いバクテリア」とも呼ばれています。

国立感染症研究所によりますと、去年の感染者数は速報値で941人となっていて、1999年に統計を開始してから最も多く、増加傾向だということです。

感染症に詳しい長崎大学大学院の森内浩幸教授は「新型コロナの感染対策で、集団免疫力が低くなり、溶連菌に感染する人が増えた。『人食いバクテリア』自体はまれだが、 溶連菌の感染者そのものが増えているため、比例して増えている」と指摘しています。

では、どういう人が注意すべきなのでしょうか。

■長崎大学大学院・森内浩幸 教授
「溶連菌に感染しても、劇症型、人食いバクテリアと呼ばれる怖い病気にかかることは少ない。高齢者ほどかかりやすい。また、いろいろな基礎疾患、糖尿病やがんなどの基礎疾患があるとかかりやすいと言われている。いったんこの病気が進んだら、1・2日の短い経過で命に関わることになるし、そこまでいかなくても手足を切断することになり得るので、すぐに集中治療ができる場所、外科的な対応ができるところに搬送しなければ救命することは難しい。」

感染経路については「人食いバクテリア」の場合、傷口から感染することがあります。

森内教授は、切り傷や打ち身など小さな傷でも起こりうるとして、「見た目でたいしたことがなくても、普通にないぐらいに痛みを感じる場合は要注意」と呼びかけています。