特集「キャッチ」2万人に1人「アルビノを知ってほしい」小学1年生の「りっくん」の日常 家族でSNSで発信 福岡
SNSの動画で、柔らかくほほえむ男の子。「天使みたい」という書き込みもあります。
■母・小村憂さん(40)
「こういう子がいるよって知ってほしかった。」
すてきな個性を大切にしてほしい。母と息子の歩みを追いました。
■憂さん
「お帰り。」
北九州市の小村憂さん。小学1年の息子・律月(りつき)くん(6)のお迎えが日課です。
■憂さん
「朝、寒かったね。」
■律月くん
「長袖でも運動しよう時、めちゃくちゃ寒かった。」
白い肌に、白い髪。律月くんは肌や髪の毛の色のもとになるメラニン色素を作りづらいアルビノです。紫外線に弱く、弱視で光をまぶしく感じやすいといいます。外では遮光メガネが欠かせません。
■憂さん
「(アルビノの中で)1番色素がない最重症型の部類に入っている。」
アルビノは、眼皮膚白皮症と呼ばれる先天性の遺伝子の病気です。2万人に1人の確率で生まれ、国の難病に指定されています。
ふだんの律月くんはというと。
■律月くん
「パス!」
やんちゃ盛りです。明るく、家族のムードメーカーで、憂さんの自慢の息子です。
しかし、律月くんが生まれた当初、憂さんはある悩みを抱えていました。
■憂さん
「この写真は、まだ病院におった時かな。りっくんはすごく目立つから、 外に出るとすごく見られる。何回も何回も振り返られたりとか。周囲に気を遣った時期があった。」
見た目の違う我が子に対する、周りからの反応が気になったといいます。
さらに、アルビノに関する情報は少なく、日光を浴びてもいいのか、目は見えるのか、心配ばかりでした。
■憂さん
「(母子手帳の)ここは書ききれなくて空欄です。」
後押ししてくれたのは、律月くんの姉や兄の存在でした。
■憂さん
「うちの上の子たちは、純粋にりっくんのことをかわいいねって言ってくれていて、偏見の目で見ていたのは私やったんかなと気づかされた。」
4月から新1年生に 教室の席は一番前
子育てに悩む中でも、我が子への愛情は日に日に増していきました。
■律月くんのクラス
「7は、1と6、2と5、3と4。」
4月に小学生になった律月くん。視力が0.1程度のため、教室では一番前の席です。不安はありましたが、律月くんの希望で地元の小学校に入学しました。
■同級生
「律月くんのお姉ちゃんに会ったことあるんよ。」
■律月くん
「1回だけ?何回ある?」
■同級生
「10回!」
■律月くん
「えー、待って。」
「幼稚園よりも楽しい」、そんな小学校生活を送っています。
休み時間、律月くんが入念に塗っていたのは日焼け止めです。紫外線に弱いため日焼け止めは必需品で、3時間に1回塗るのがお母さんとの約束です。
体育の授業中、律月くんは時折、険しい表情を浮かべていました。紫外線のほかにも、外で活動する時に懸念していることがあります。
■律月くん
(Q.太陽があったら見えづらい?)
「ちょっとは見えた。上が見えにくい。」
まぶしさを感じやすいことがアルビノの特徴です。
家族や友達と遊んでいた時には。
■律月くん
「ママたち、どこ行った?」
近くにいる母親を認識できていなかったのです。
■憂さん
「見えんかった?」
■律月くん
「うん。この人誰かなと思っとった。」
目印になればと、母親の憂さんは明るい髪色にしています。
ある日、訪れたのは視覚支援学校です。月に1度の、目に関する教育相談です。
■北九州視覚特別支援学校・井上裕香 教諭
「今度はりっくん、ピントを合わせる練習してみようか。よーいどん。」
■律月くん
「ハート!」
■憂さん
「すごい。」
単眼鏡という器具を使う練習です。片目で見る望遠鏡で、黒板を見る時などに役立つといいます。
■井上教諭
「教室の一番前からでも見づらさがあると思われる視力なので、(単眼鏡を)自分の生活の一部として使えるようになればいいと思っている。」
まだまだ完璧とまではいかず、小学校で使えるよう練習に励む日々です。
「 白、りっくん大好きやけん」
■憂さん
「ここですよ。ニコニコしてくださいね。」
憂さんは、娘の真優(まひろ)さん(21)と一緒に、3年前から律月くんの写真や動画をSNSに投稿しています。
■憂さん
「アルビノをもって生まれたりっくんを知ってもらうために、どうしようかっていろいろ考えて。」
アルビノへの理解を深めたい、その一心で始めたといいます。
投稿内容は、ほとんどが律月くんの日常です。再生回数が500万回を超えたものもあります。
アルビノの特徴などを紹介する動画を作り、発信を続けることで、理解が深まってきていると憂さんは感じています。
そして、「自分らしく歩んでほしい」という母の思いは律月くんにも届いています。
■律月くん
「りっくん、白ね、自分でもかっこいいと思っとう。 白、りっくん大好きやけん。」
■憂さん
「下を向いて歩いてほしいわけじゃないから。堂々と歩いていける、いろんな子が世の中にはいるよねって、その中に当たり前に律月がいてほしい。」
誰もが互いを認め合い、個性を尊重する世の中に。その当たり前のメッセージを、親子は社会に発信し続けています。
※FBS福岡放送めんたいワイド2024年6月26日午後5時すぎ放送