匿名で不安や悩みを相談できる「いのちの電話」新年度を前に電話が増えるも相談員が足りない
不安や悩みを聞き、自殺を食い止める役割も果たす「いのちの電話」の相談窓口。新年度を前に、この時期、相談が増えています。しかし、相談員の不足が今、問題となっています。
福岡市中央区で2日、「いのちの電話」について理解を深めてもらおうというイベントが開かれました。
■福岡県出身のタレント・兒玉遥さん
「話を聞いてもらったり、気持ちを吐き出すことが大事だということを、病気にかかったことで学ばせてもらいました。」
講演した福岡県出身のタレント、兒玉遥(こだま・はるか)さんです。兒玉さんは元HKT48のメンバーで、現役時に誹謗中傷を受けてうつ病を発症した経験があり、その経験をもとに不安を話せる場の大切さを語りました。
■兒玉さん
「いのちの電話の存在を、こういう仕事をしたり、うつ病になるまで知らなかったので。気軽に誰かに相談したり話したりできる機会が増えていくのは、社会にとっていいことだなと思っています。」
匿名で不安や悩みを相談できる「いのちの電話」は、ボランティアの相談員による電話相談窓口です。
■相談員
「福岡いのちの電話です。」
2日夜、福岡市内にある事務所には相談の電話が寄せられていました。この相談者は、家族との関係がうまく行かず家庭内に居場所がないと悩んでいました。「いのちの電話」では原則として、助言、アドバイスをしません。
■相談員
「そっか、そっか。それはあるかもしれないね。」
中には自殺を考えている人もいて、24時間体制で相談を受け付けています。しかし、問題があるといいます。
■福岡いのちの電話・金子英次 事務局長
「だんだん人数が減ってきているんですね。人数が減って、受ける相談電話の件数が減るというのが、ずっと続いています。」
「福岡いのちの電話」に登録されている相談員は1991年の230人から減少傾向が続き、現在は159人です。背景にあるのは相談員の高齢化です。平均年齢は60代後半で、高齢を理由に引退する人も多いということです。
電話ブースは4つありますが、相談員が不足してるため使用するブースは1つか2つのみです。一つの相談の時間は平均30分で、1時間を超える時も多く、受けられる相談には限りがあります。
■相談員
「限りがあると思う。一人一人ができることには。人数がもうちょっと増えると(電話を)とれる方々も増えると思うので、増えてほしいと思っています。」
ただボランティアであることに加え、相談員になるための研修は2年間にわたり、その受講費用のほか交通費も自己負担です。このような負担の大きさも、相談員の減少につながっているとみられています。
「福岡いのちの電話」では活動への寄付を呼びかけていて、寄付が増えれば相談員の負担軽減につなげたい考えです。
「福岡いのちの電話」の番号は092-741-4343です。