【スーダン武力衝突から1年】北九州市の高校に3年間留学した男性 家族と離れ…日本で学んだ言葉「これから」を支えに 福岡
アフリカのスーダンで武力衝突が始まって1年あまりがたちました。いまだ戦闘が続く中、首都ハルツームから退避したスーダン人の男性が北九州市を訪れています。いま、日本で伝えたいことは。
5月9日、北九州市役所を訪れたのは、スーダン人のゼインさん(28)です。内戦が続くスーダンから退避し、働き口を探してドバイで生活しています。
20年近くスーダンで医療支援を行っている北九州市のNPO法人、ロシナンテスに招かれて来日しました。
■スーダン出身・ゼインさん(28)
「いつか戦争が終わるか毎日悩んでいて、戦争の終わりが見えない中、家族のために働かないといけないことになって。」
ゼインさんはロシナンテスがスーダンで開いていた少年サッカー教室のメンバーで、12年ほど前、ロシナンテスを頼って、北九州市の高校に3年間留学しました。
卒業後は「日本とスーダンの架け橋になりたい」と帰国し、現地でスポーツ店を経営していました。
国軍と準軍事組織RSFの戦闘が1年にわたり続くスーダンでは都市部から農村部に戦闘が拡大するなど、停戦の兆しは見えません。国の内外で数百万人が避難生活を余儀なくされています。
今回、ロシナンテスがゼインさんを招待したのは、日本人にスーダンの現状を知ってもらうためです。ゼインさんの経営していた4つのスポーツ店も、内戦で破壊されたといいます。
家族で1日1皿の食事をとるのもやっとだったと、涙ながらに話しました。
■ゼインさん
「この量で一人分にも足りない量ですが、お父さんと一緒に食べて、お父さんは(食べずに)私にお腹いっぱいと言いまして。彼はお腹いっぱいじゃなかったけど。私も、あなたが食べないと私も食べませんと言いました。」
家族はウガンダに避難し、ゼインさんは1歳の息子たちと離れて単身ドバイに移り、スポーツ店の経営を立て直そうとしています。
■ゼインさん
「まず、この内戦が絶対終わらないといけない。どうやってスーダンを立ち直らせようと考えていく。」
日本で学んだ言葉「これから」を支えに
ゼインさんは、かつて日本で学んだ、ある「言葉」を心の支えにしています。内戦が始まった直後、ロシナンテスに送ったメッセージです。
■ゼインさんの内戦直後のメッセージ動画
「それは『これから』と言う言葉です。日本人はいくら問題があっても解決する方法を探します。『これから』スーダンを平和に、『これから』スーダンの人の命を守る。」
「これから」という言葉。どんな状況であっても祖国の平和のため、決して諦めない思いを伝えました。
ゼインさんは5月中旬まで日本に滞在し、各地で情勢報告会を開く予定です。
※FBS福岡放送めんたいワイド2024年5月9日午後5時すぎ放送