【まもなく春節】「SHOGUN」効果に期待 ほぼ満室のホテルは7割が外国人客 一方で「人が増えても単価は増えない」課題は?
中国ではまもなく、旧正月「春節」に伴う連休が始まり、延べ90億人の移動が予想されています。外国の旅行先として最も人気が高いと言われる日本。福岡県内でも、旅行客を受け入れる準備が進んでいます。
先週の中国・上海です。
■帰省する人
「祖父母の家には、おもちゃがたくさんあるから楽しみ。」
中国では1月28日から旧正月「春節」に伴う8連休が始まります。14日から連休を挟んだ40日間は「春運」と呼ばれます。この期間に地域をまたいで移動する人は延べ90億人と、過去最多となる見通しです。
普段から外国人客が多いという福岡市博多区のホテルにも、春節を前に多くの予約が入っていました。
■都ホテル博多 セールス&マーケティング部長・飛田朋子さん
「今月28日から1週間の予約の入り具合になります。」
■中村安里アナウンサー
「ほとんど100%近くの予約が入っていますね。」
■飛田さん
「春節の期間は早いうちからこのような状態で、ずっとほぼ満室という感じです。」
春節の期間の予約率はすでに9割を超えていて、予約客の7割をアジアを中心とした外国人客が占めているといいます。
外国人観光客の増加に期待を寄せるのは北九州市小倉北区の小倉城です。
■小倉城 広報・成重敏夫さん
「時間も残り少ないので急ピッチで進めています。」
受付窓口で各国の観光客に対応できるよう、中国語など多言語の案内板を12月に完成させました。
庭園を眺めながらお茶を楽しめる甘味処は、春節に間に合うよう1月20日にオープンしたばかりです。
ドラマ「SHOGUN」がゴールデングローブ賞で4冠を達成したことで、日本文化が世界的に注目される中、小倉城では日本の城ならではの「体験」に人気が集まっているといいます。
■阿部まみアナウンサー
「外国人観光客に人気のコンテンツが、流鏑馬(やぶさめ)体験です。」
武士の衣装を身につけて記念撮影をするコーナーも、外国人客のにぎわいに期待を寄せています。
■成重さん
「より日本らしい、お城らしい体験をしてもらえるように、これから内容を充実させたいと思います。」
ただ、専門家は春節による経済効果に大きな期待はできないと話します。
■SOMPOインスティチュート・プラス エコノミスト 小池理人さん
「人が増えても単価は増えない。これが今回の春節の特徴になると考えています。」
客単価が増えないのは、中国経済の冷え込みに加え、日本の人手不足も原因の一つだといいます。
■小池さん
「サービスする人が足りないことになりますので、ビジネスチャンスを逃してしまうことにもなりかねないと考えています。民間は人手不足を解消していく。自治体は観光公害(オーバーツーリズム)に対応していく。こういった動きが日本に求められると考えています。 」
春節で一気に増える外国人観光客をどのように受け入れるのか。観光地は、期待とともに難しい課題にも直面しています。
福岡市の日中友好旅行社の高尾淑江社長によりますと、近年、中華圏の観光客からは「自然を体験したい」という声が多く聞かれ、新たに福岡市の油山をツアーに組み込んだということです。モノ消費から、コト消費へのシフトも進んでいるようです。