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【特集】ネオン輝く中洲の夜の「坊主バー」 僧侶がつくるカクテルと人生相談 九州一の歓楽街で異彩を放つ店 福岡

2024年5月26日 8:03
【特集】ネオン輝く中洲の夜の「坊主バー」 僧侶がつくるカクテルと人生相談 九州一の歓楽街で異彩を放つ店 福岡
中洲の夜の「坊主バー」

お酒を飲みながら、現役の僧侶に人生相談ができる。そんなバーが、福岡市・中洲にあります。歓楽街で異彩を放つ「夜の駆け込み寺」は、人生に悩む人たちに、ひとときの安らぎを与えています。

ネオンの光に誘われ、多くの人が行き交う九州一の歓楽街、福岡市・中洲。

扉を開けると、なんとも厳かな空間が広がっていました。

■坊主バー博多・竹内寛和さん(48)
「夜のお寺、坊主バーと申しまして、30分ごとの参拝費という形でいただいております。その間、お酒を楽しまれたり、お話、人生相談などされながらお過ごしいただければと思います。」

シェーカーを振る、作務衣(さむえ)姿の男性は「坊主バー」のマスター、竹内寛和さん(48)です。竹内さんは現役の僧侶です。

長野県の寺に生まれ育ち、18歳から4年間、愛媛県の寺で修行して僧侶になりました。福岡市で会社員をしたり、世界を放浪し53か国を巡ったりした経験もあります。

僧侶としては「フリーランス」で、月に数件、法要などの依頼に応じています。

■竹内さん
「よく副業いいんですかって言われるのですが、別に副業ではないので。お坊さんとして、伝え方を使い分けているだけですかね。」

竹内さんが7年前にオープンした中洲の「坊主バー」。人生の悩みを聞いてもらおうと、夜な夜な、人々が訪れます。

会社の同僚だという30代の女性2人組は「恋愛相談」のためにやってきました。

■竹内さん
「出会いがいるんでしょう?早く動いたら、きょう出会えるかもしれないじゃないですか。 あす、あさって行ったら、きょう運命の人がいたとしても、もう会えないんですよ。」

竹内さんは2人に、出会いが多そうな近くの飲食店や結婚相談所を紹介し「一期一会」を大切にとアドバイスしました。

■女性
「出会いを求めているという相談に対して、ここに行ったらいいんじゃないかみたいな回答でした。今からすぐ行くので、よかったです、来て。」

「御朱印帳」を開いてみると

御朱印帳に書かれたメニューには、仏教にちなんだ名前のカクテルが並びます。

色鮮やかで甘くて飲みやすい「極楽浄土」に、トマトジュースや唐辛子を入れて炎の熱さや痛みを表した「灼熱地獄」。

来店客と一緒に作り上げるカクテルもあります。

■竹内さん
「こちらをお持ちいただいて、こちらに立ててください。仏様に手を合わせ、お祈りごとをお一つどうぞ。 祈りのこもった煙をためておりますので、一緒に混ぜてお作りいたします。」

抹茶リキュール、ライム、日本酒を混ぜ合わせたカクテルに、祈りを込めた線香の香りが漂う「特別な一杯」です。

■阿部まみアナウンサー
「お線香の香りと、この1杯で、心が落ち着く感じがします。」

こちらの50代の会社員の女性がオーダーしたカクテルは「諸行無常」です。

■女性
「人生が諸行無常だから。」

「永久に変わらないものはない」 という意味を持つ「諸行無常」。

■竹内さん
「なんで生きているんだろうとか、 そんなの考えたらきりがないですよね。」
■女性
「もっとシンプルに今を楽しんだ方が。」
■竹内さん
「そうです、そうです。やりたいことやって、会いたい人に会ってっていうのを積み重ねていくのが人生なのかな。」

桜のやわらかな甘みとレモンの酸味。酸いも甘いもかみ分けた大人の一杯です。

■女性
「お寺さんとの関係も希薄になってる時代じゃないですか。だからアルコールっていうのはおまけであるかもしれないのですが、お話している中で、気づきをくださる感じで。よかったかなと思います。」

■竹内さん
「日々の生活に疲れたり、迷ったり悩んだりした人が相談に来てくれる場所としてでもいいですし、ほかではない、ここでしか飲めない、この雰囲気の中でしか飲めない一杯を飲んでもらえたら。楽しんでもらえたらいいなと思います。」

歓楽街で異彩を放つ、夜の駆け込み寺。「諸行無常」の世の中で、人生に悩む人たちの声にそっと耳を傾けています。