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「弁当の日」の本当の意味を伝えたい 50ページの企画書でプレゼン 小学生が大人たちを動かした 福岡

2024年11月24日 7:01
「弁当の日」の本当の意味を伝えたい 50ページの企画書でプレゼン 小学生が大人たちを動かした 福岡

こちらは、福岡県宇美町の小学生がまとめた、50ページにも及ぶ企画書です。その小学生は、子どもたちが自分で弁当を作って学校に持っていく「弁当の日」の取り組みを描いた映画に感動し、この企画書を町に提出しました。周りの大人たちを動かすことになる彼の取り組みを追いました。

校長や教諭、PTAの役員たちの集まりで出番を待っているのは、福岡県宇美町の井野小学校6年・上田浩平くんです。自らが1年かけて準備した企画をアピールします。

■井野小学校6年・上田浩平くん
「小学校の友だち、中学校のお兄さんお姉さんに見てもらいたいです。が、ぜいたくを言うと、たくさんの大人の方にも見てもらいたいです。」

映画「弁当の日」は、子どもたちが自分で弁当作りをする「弁当の日」の取り組みを、笑いや涙を交えて描くドキュメンタリーです。

■浩平くん
「見てよかったなと思いました。きっかけにもつながるのですが、ぼくたちのクラスは(自分で)作ってくる人があまりいないので、『弁当の日』を。」

クラスメートにも、映画のような達成感を味わってほしい。自分で作るという本来の「弁当の日」に変わってほしい。そこで浩平くんが思いついたのが、映画「弁当の日」の上映会です。

■浩平くん
「多くの人に見てもらいたいが、どうやってみんなに見てもらうか。やっぱり、おもしろいことじゃないと、興味がわいて見ないと思うので。」

まず、浩平くんは映画「弁当の日」の製作者、安武信吾監督にアドバイスを求めました。

■安武信吾さん
「小学生が上映会を主催するなんて聞いたことなかったし、『講演会は、安武さんにいくらぐらいお支払いすればいいんですか?』という質問が(メールに)あった。」

浩平くんは、安武さんのある言葉でスイッチが入ります。

■浩平くん
「『弁当の日』の良さはどこですかと聞いた時に言ってもらった『世直し』。『弁当の日』で世直しができるので、大きいなと思った。」

安武さんの講演会も行う映画「弁当の日」の上映会を開きたいと、浩平くんは企画書を作り、町の教育委員会に提出します。

■浩平くん
「『弁当の日』が、なぜあるか知っていますか。ぼくは4年生の時、この映画を見ました。その時、『弁当の日』の本当の意味を知りました。本当の『弁当の日』を知って、お弁当を自分で作ってきてほしい。」

企画書では「親は手伝わない」ということが「弁当の日」のルールであることや、弁当の語源や歴史にも及んでいます。

■宇美町教育委員会 社会教育課・藤崎賢 課長補佐
「思いだけで『やりたい、やりたい』だけではひかれませんが、実際に課題として実施していく中で、(予算や開催場所など)問題点もきちんと把握した上で計画を立てて、これをどう動かすかを考えているところに非常にひかれました。」

町へのプレゼンから4か月後、浩平くんの思いが実り、映画「弁当の日」の上映会が実現しました。主催者として浩平くんが訪ねたのは、講演会を依頼した映画「弁当の日」の監督、安武信吾さんです。

■ 安武さん
「どうだった?これまで。」
■浩平くん
「大変でした。」
■ 安武さん
「何が大変だった?」
■浩平くん
「やっぱり宇美町へのプレゼンが一番。」
■ 安武さん
「町にプレゼンしたんだ。会議室みたいなところで、パソコンを使って?」
■浩平くん
「はい。」
■ 安武さん
「すごいな。」

より多くの人に本来の「弁当の日」を伝えたいという浩平くんの思いが、映画上映につながりました。その思いを実現した浩平くんとともに舞台であいさつした安武さん。

■安武さん
「校長先生はじめ、宇美町の教育委員会の皆さんなど、大人たちが温かく彼のやりたいことを受け止め、そして動いてくれたからこそ、実現したんだと思います。それを忘れたらダメだよ。」

そして、浩平くんは自分の言葉で思いを伝えます。

■ 浩平くん
「この映画を見て、『弁当の日』にお弁当を作ってきてくれるとうれしいです。『弁当の日』よろしくお願いします。」

浩平くんが考える弁当を通じた「世直し」。その小さな一歩が前へ歩み始めています。

FBSでは、「弁当の日」を本来の姿にしようとする上田浩平くんの活動を追ったドキュメンタリー番組を制作しました。目撃者f「世直し弁当~弁当で伝えるメッセージ」は24日(日)の深夜25時25分放送です。

最終更新日:2024年11月24日 7:01