“信号無視”に対する注意義務は? 赤信号直進のバイクに衝突され罪に問われた男性に無罪判決
福岡県古賀市でおととし、交差点を右折していた男性の車が“赤信号で”直進してきたバイクと衝突し、男性がバイクの運転手にケガをさせたなどの罪に問われた裁判です。福岡地方裁判所は27日、車を運転していた男性に無罪判決を言い渡しました。
事故が起きたのは、おととし10月の福岡県古賀市中央です。
■樋口淳哉 記者
「現場は片側4車線の国道3号の交差点です。交差点を乗用車が右折していたところ、赤信号で進入してきたバイクと衝突しました。」
この事故で、バイクを運転していた当時31歳の男性は足の骨を折るケガをしました。
乗用車と衝突したのは、赤信号にもかかわらず交差点に進入してきたバイクです。
ところが、罪に問われたのは、乗用車を運転していた側の古賀市に住むナイジェリア国籍の男性でした。
検察は、「注意義務を怠りバイクの運転手にケガをさせた」として、過失運転致傷などの罪で男性を起訴したのです。
裁判の争点は、『赤信号で飛び出してくる車両に対する注意義務はあるのか』です。
27日の判決で、福岡地方裁判所の今泉裕登裁判長は「赤信号を無視し交差点内に進入してくる車両を予測すべき根拠は見当たらない」と述べ、そのうえで、赤信号を無視した車両への注意義務を男性が負っていたとは認められないとして、無罪を言い渡しました。
無罪判決を受けた男性は、「裁判は長かった。検察は控訴しないでほしい」とコメントしました。
男性は今後、裁判期間中に受けた損害の補償を、バイクの男性に求めることを検討しています。