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10月から新型コロナ治療薬が一部自己負担に 治療薬の処方断る『薬控え』に懸念 福岡

2023年10月4日 18:01
10月から新型コロナ治療薬が一部自己負担に 治療薬の処方断る『薬控え』に懸念 福岡
新型コロナウイルス治療薬が一部自己負担に

10月から、新型コロナウイルスの治療薬が一部自己負担になるなど、患者への支援を縮小する動きが始まっています。クリニックの現場からは、治療薬の処方を断る“薬控え”が出てくるのではないかと懸念の声が上がっています。

10月4日、福岡市西区のクリニック『井上さとし内科』では、発熱などを訴える患者が訪れていました。午前の診察では、新型コロナウイルスの検査を3人、インフルエンザの検査を2人が受け、うち1人が新型コロナウイルスと診断されました。

『井上さとし内科』で確認された新型コロナウイルスの感染者は、ことし8月ごろには1日最大20人に上っていましたが、9月下旬以降は1日5人以下にとどまっています。

福岡県が先週発表した新規感染者の定点把握でも、2週連続で前の週を下回っています。

感染状況が落ち着きつつあるなか、新型コロナウイルスをめぐって10月から新たな動きがありました。

■井上さとし内科・井上聡 院長
「10月から政府の補助が少し少なくなって、“コロナ”の特効薬の薬が3割負担だと9000円になっています。」

それは、治療薬の自己負担額の見直しです。

■井上院長
「私のところでは、いわゆる抗ウイルス薬と言われている、この3種類の中からいつも内服されているものか、後は年齢・妊娠などの条件によって出し分けている。」

例えば、軽症から中等症の患者に処方される飲み薬『ラゲブリオ』は5日分で約9万4000円です。

これまで治療薬は全額、公費で支援されていましたが、10月からは一部自己負担となり、最大で9000円を支払うことになります。検査料などを合わせると、約1万2000円を負担しなければなりません。

治療薬の自己負担額の見直しについて、患者の対応は分かれています。

■9月に“コロナ”にかかった人(80代)
「治りたいから、やっぱり処方してもらわないとね。高くても。」

一方で、新型コロナウイルス陽性と診断された女性は、説明を聞いたうえで、治療薬を選びませんでした。

■井上院長
「(治療薬)ご希望ですか?かなり効きます。」
■“コロナ”陽性者
「解熱剤でもいいですか?」
■井上院長
「解熱剤だけで。分かりました。」

クリニックの院長は、患者が処方を断る“薬控え”が想定されると考えています。

■井上院長
「(9月までは)一日に5・6人以上は処方していました。多いときはもっと。10月になってぱたりとゼロになった。ちょっと我慢して薬を入れないというところで、病態が悪くなるという患者が増えなければいいなと心配はしています。」

また、福岡市医師会も4日の会見で「自己負担が生じることによって体調に異変を感じても受診をしない人が増え、感染拡大につながるのではないか」と懸念を示しています。


新型コロナウイルスの国の支援について、10月から変わった点をまとめます。

まずは、これまで『全額公費負担』だった治療薬が一部、自己負担になりました。医療費の自己負担が1割の人は最大3000円、2割の人は6000円、3割の人は9000円、負担することになります。

続いて、入院が必要になった際の医療費についてです。これまでは『高額療養費制度』を適用したうえで、最大で2万円の補助が出ていましたが、10月からは1万円に減額されます。

また、医療機関への支援も見直されました。これまでは、入院患者の受け入れに備え、病床を空けた場合に『病床確保料』という補助金が支払われていましたが、10月からは感染状況が一定の基準を超えるまでは支給されなくなります。