ノーベル賞にハンガリー出身の研究者 「ごめんね」親交ある医師が福岡県柳川市に
今週は『ノーベル賞ウイーク』です。ことしのノーベル生理学・医学賞には、新型コロナウイルスワクチンの基礎となる技術を発見したハンガリー出身の研究者ら2人が選ばれました。その1人と親交があった福岡県柳川市の医師も受賞を祝福しました。
受賞が決まったのは、ハンガリー出身でドイツのバイオ医薬品企業のカタリン・カリコ顧問ら2人です。2人は、『mRNA』をワクチンとして使うための基礎となる方法を発見し、新型コロナワクチンの開発で大きな貢献をしました。
■ドイツのバイオ医療品企業 カタリン・カリコ顧問
「私たちは、賞のために働いているわけではありません。 大切なのは、人々を助ける製品をつくることです。」
カリコさんとアメリカの大学で交流があったのは、福岡県柳川市の医師・村石昭彦さん(64)です。
■医師・村石昭彦さん
「面白い人だなという感じは持っていたが、 ノーベル賞をもらうとまでは思っていなかった。」
村石さんは30年前、遺伝子治療の研究でアメリカの大学に留学した際、カリコさんと親交を深めました。お互い「カリコ」「アキ」と呼び合い、研究室で趣味や家族のことなども語り合う仲だったといいます。
■村石さん
「すごく話し好きでニコニコして、いろんなことを人に『頑張りなさいよ』と言える人。一緒にいるといい息抜きになって、また研究しようかなという気持ちにさせてくれる人だった。」
新型コロナワクチンの接種が日本で始まる直前、村石さんは父親を“コロナ”で亡くしました。その後、カリコさんと連絡を取った際にかけられた言葉が、心に残っています。
■村石さん
「(ワクチンの開発が)遅れてごめんねと。もっと早くつくってあげたかったと。」
当時、『mRNA』の研究は重要視されていませんでした。村石さんは、カリコさんが30年にわたり諦めずに続けたからこそ、いまの栄誉があると考えています。
■村石さん
「興味を持って自分のやりたいことをやったほうがいいと思うが、そういう(基礎研究)基盤がいま日本では少ないので、彼女の今回の受賞が一つのきっかけになればいいなと思っています。」
村石さんは、カリコさんが落ち着いたタイミングで、「ホッとしました、良かったね」と、短いメッセージを伝えたいと話しました。