大麻の「使用」きょうから罰則 法改正のポイントを麻薬取締部に聞く 検挙者は過去最多 若者に広がる大麻汚染を防げるか 福岡
大麻取締法などの改正で大麻の「使用罪」が新設され、12日から大麻の使用が罰則の対象となります。若者に広がる大麻汚染を食い止めることができるのか。法改正のポイントを、九州厚生局麻薬取締部に聞きました。
袋に詰められ、ずらりと並べられた植物。福岡空港に密輸入された乾燥大麻です。
■東まどか記者
「大量の乾燥大麻は圧縮され、菓子箱に入れて持ち込まれました。部屋中に独特の臭いが漂っています。」
量は2キロを超え、末端価格はおよそ1000万円に上ります。販売目的で密輸されたとみられます。2キロを超える量の乾燥大麻が福岡空港で摘発されたのは、21年ぶりのことです。背景には、大麻使用の広がりがあるとみられます。
若者が集まる公園で、大麻について聞きました。
■18歳
「親不孝通りとかクラブの近くは多いとは聞きます。」
■21歳
「だいたい、1グラムで6000円ぐらいらしい。それを3グラム引きに(買いに)行こうという誘いはありました。」
実際に使用したことがあるという若者もいました。
■18歳
「巻いたやつをみんなで分けて吸いながら、粉系だったり、リキッド状にした大麻でもっと追い込む。全然、手に入る。ほとんどやったことあると思う、ここにいる子は。」
厚生労働省によりますと、大麻の所持や譲渡などで検挙された人の数は増加傾向にあり、去年が過去最多となりました。そのうち30歳未満が占める割合は、およそ73%にのぼります。
若者の乱用拡大が懸念される中、大麻の「使用罪」が新設され、12日から罰則の対象となります。
法改正で、何が変わるのでしょうか。
■九州厚生局麻薬取締部・加藤秀雄 調査総務課長
「大麻の成分、THC(テトラヒドロカンナビノール)を今回の法改正で麻薬に指定しています。それによって、大麻の使用罪がなかったものを、麻薬の使用ということで取締りができる。これが大きく変わった点です。」
これまでの大麻取締法では大麻の所持や栽培などが罰則の対象になっていて、大麻を使用すること自体に罰則はありませんでした。そのため、使用が疑われる人も、大麻を所持していなければ取り締まることはできなかったといいます。
■加藤課長
「使用罪がないことを逆手にとって、乱用者が例えばクラブなどで大麻を乱用して、家には持ち帰らない、持ち歩かない。取り締まりがなかなかできない。非常にもどかしい状況は多々ありました。(今回の法改正で)一般の覚醒剤や他の麻薬と同じように、尿検査だったりいろんな検査で鑑定を行って、痕跡が出れば、事件として適正な罰を与えるというようになります。」
12日から、大麻の不正な所持や使用などの罰則は7年以下の懲役となりました。心身をむしばみ、健康障害を引き起こす大麻使用。「使用罪」の新設で、歯止めがかかることが期待されます。