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“お笑い芸人動画”でドライバー募集 運転手不足を打開へ 福岡市のタクシー会社

2023年11月1日 17:41
“お笑い芸人動画”でドライバー募集 運転手不足を打開へ 福岡市のタクシー会社
タクシー運転手不足打開へ芸人起用PR動画

全国的に深刻な問題となっているタクシーの運転手不足についてです。打開策として、福岡市のタクシー会社が始めたのは、お笑い芸人を起用した動画による運転手の募集です。

【タクシー運転手あるある動画】

■TikTok動画
「タクシーあるある!」
「おっ、カレー。今度行ってみよ。」
「勤務中に気になるお店を発見しがち。そしてしれっと行きがち。」

福岡出身のお笑い芸人『にこにこぷんぷん』さんが出演し、タクシーの運転手“あるある”を描いた動画を制作したのは福岡市のタクシー会社です。

ホーム画面には『募集 ドライバー』の文字があります。

【車はあるのに…運転手がいない】

動画を作ったタクシー会社『双葉交通』を訪ねました。

■双葉交通・豊島明弘 常務
「こちらが今、動いていない車です。」
■元木寛人キャスター
「『終日休車』と書いてありますが、少なくともきょう一日動かない?」
■豊島さん
「きょう一日、車庫に止まっている状態になります。動かす乗務員がいない。人手が足りていないので、そこが一番の原因になります。」

『双葉交通』でも、運転手不足は深刻です。

今回、動画を作ったのには、クスッと笑えるタクシー運転手の日常を投稿することで、若い人にタクシーの魅力を知ってもらい、なんとか運転手の確保につなげたい狙いがありました。

■電話対応の様子
「ありがとうございます。双葉タクシー木村です。」

配車の依頼は、ひっきりなしにやってきます。

■豊島さん
「オレンジ色がお客様が乗車中の状態。今の状態だと電話があっても、なかなかすぐに向かえない。」

運転手の不足に拍車をかけたのは、“コロナ禍”でした。

■豊島さん
「ちょうど同月比で見ますと、2018年の10月時点では118人いた乗務員が、現在は96人しかいない状態。」

全国的にも2004年ごろをピークに減少傾向のタクシー運転手ですが、“コロナ禍”が始まった2019年以降、減少の幅が大きくなっています。

■元木キャスター
「今こちらでは、SNSにアップする動画の撮影が行われています。」

芸人を起用した動画でPRを図るタクシー会社は、11月1日も新たな動画を撮影していました。

【次の一手…2種免許取得への道】

■動画撮影の様子
「サングラスもいらないですね。」
「はい?」

会社では動画投稿に続く、さらなるPR計画を進めています。

■お笑い芸人・にこにこぷんぷんさん
「実際に僕もタクシードライバーとして、街中を走ります。(通常の乗務員と同様に)双葉交通が試験費用などを負担してくれるので、僕は手出しすることなく2種免許を取得できる。今、勉強中です。」

芸人自身も一人前のタクシードライバーを目指して、実習や講習を受けながらタクシー業界の働きやすさを発信していきます。

■にこにこぷんぷんさん
「ユニークな、みんなで楽しくわきあいあいと勤務できるイメージがつくように、楽しい動画を作ってどんどん発信していきたい。」

“なんとか運転手を増やしたい”と、タクシー会社の模索が続きます。

■にこにこぷんぷんさん
「老いも若きも、タクシードライバー待っとるばい!」

【ライドシェアとは】

深刻なタクシーの運転手不足、この状況を打開するために検討されているのが『ライドシェア』です。

『ライドシェア』とは、一般のドライバーが自家用車を使って有料で客を運ぶ仕組みです。日本では禁止されていますが、今の国会で岸田首相が本格的な検討が必要との認識を示しました。

海外ではすでに導入されています。

欧米ではウーバー(Uber)、東南アジアではグラブ(Grab)などが有名で、スマートフォンのアプリで行き先を送信すると、登録された一般ドライバーが迎えに来てくれます。料金も、時間帯によってはタクシーより比較的安く利用できるといわれます。

ただ、安全性の面で課題も挙げられています。

タクシー運転手は高い運転技術などが求められる『2種免許』を持っていますが、ライドシェアの運転手は『普通免許』のみです。事故が起きたときはタクシーであれば会社が対応しますが、ライドシェアは個人です。

また、犯罪に巻き込まれる可能性を心配する声も上がっています。