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後を絶たぬ「いじめ」大人たちはどう動く 自殺で息子を失った母親「子どものSOSを大人がキャッチできるように」 大阪では踏み込んだ対応も 福岡

2024年3月29日 18:56
後を絶たぬ「いじめ」大人たちはどう動く 自殺で息子を失った母親「子どものSOSを大人がキャッチできるように」 大阪では踏み込んだ対応も 福岡
後を絶たぬ「いじめ」大人たちはどう動く

後を絶たないいじめにどう対応するかは大きな課題です。18年前、福岡県筑前町でいじめ自殺で息子を失った母親は今、大人がいじめに向き合う時だと感じています。大阪のある自治体を取材すると、いじめの即刻停止を掲げ、踏み込んだ対応をしていました。

写真の中で笑顔を浮かべる少年、森啓祐君(当時13)。2006年、中学2年の時に、みずから命を絶ちました。

■啓祐君の遺書
「今までありがとう、いじめられて、もういきていけない。」

啓祐君は入学当初から「死ね」「うざい」などと言葉のいじめを受け、自殺当日には生徒数人からトイレでズボンを下ろされそうになっていました。

あれから18年。福岡を離れている母親の森美加さん(53)。

同じ思いをする子どもが1人でも減ってほしいと、全国で啓祐君のことを話してきました。今、ようやく大人に伝えられることがあります。

■いじめ自殺で息子を亡くした森美加さん(53)
「子どもたちがSOSを出したとしても、大人たちがそれをキャッチできていないのが現実だと思う。私を含めて。本当に自分たちが安心安全な人じゃない限り、子どもたちは自分の気持ちを吐き出すことはできない。安心安全な大人をたくさんつくる、その場をつくるってすごく大事。」

私たちは、いじめの解決に新たなアプローチで臨む自治体へ向かいました。

大阪都市圏のベッドタウン・寝屋川市。いじめ対応の特別チーム「監察課」を設けています。

■会議
「被害児童1人に対し、加害児童が複数。」

監察課は市の職員8人からなる、教育委員会とは別の組織で、市民からいじめに関する通報を受け、解決に動きます。

この日、電話で通報が入りました。子どもがいじめを受け、学校に通えなくなっていると訴える保護者からです。

即座に、課内で会議が開かれます。

■会議
「目立つというか派手なグループだったので、授業をサボることがあったんですけど、それを断るような傾向にあった被害者がターゲットになることが多かった。」

教育委員会とも情報を共有し、今後の対応について協議します。このスピード感が監察課の大きな特徴です。通報の翌日には、保護者に状況を報告しました。

■監察課 職員
「絶対に学校はそのままにはしないと思うので、それは監察課としても見る。それでも、いじめが止まらないというのであれば、監察課としてどんどん入っていかないといけない。」

寝屋川市では、いじめの99%は教育現場の対応で解決できるものの、残り1%は深刻化する恐れがあり、即刻停止させるために監察課を立ち上げました。

監察課の職員が学校に直接足を運び、子どもたちに聞き取りを行います。

■監察課の職員
「(学校に)3回とか4回行く週もある。児童・生徒は直接顔を見て、目を見て話をするほうが、やっぱり安心もしていただけるのかな。」

いじめを行った子どもにいじめをやめるよう直接指導する場合もあるということです。

監察課が2023年度に対応したいじめは2月末時点で59件。そのいじめ全てを1か月以内に停止させたといいます。

一本の電話が命を救うことがある。いじめゼロに向けた寝屋川市の新しい取り組みです。

FBSでは、いじめ問題を保護者・学校・行政の視点から考えるドキュメンタリー番組を制作しました。

目撃者f「いじめSOSその時、大人はどう動く」は、日曜深夜、4月1日(月)午前1時25分からの放送です。