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【福岡2023】いじめ問題 保護者と学校の隔たり大きく不信感募る 解決へ新たな試みも 

2023年12月25日 18:04
【福岡2023】いじめ問題 保護者と学校の隔たり大きく不信感募る 解決へ新たな試みも 
何があったか知りたい…募る不信感 新たな試みも

2023年も残り1週間です。25日からテーマごとにことし1年を振り返ります。初回は、相次いで明らかになった「いじめ」の問題です。保護者と学校の間で認識の隔たりが大きい場合があり、福岡県は、学校とは別の新たな相談窓口を設けて解決の糸口を探しています。

■亡くなった女子生徒の母親
「寝る前には夢に出てきてと必ずお願いをして寝るけれど、電気を暗くすると胸が張り裂けそうになって、電気をつけると、やっぱりまた遺影があって、もうこれの繰り返しです。」

ことし5月、高校2年だった女性の娘は自ら命を絶ちました。

■遺書
「無視され精神的につらかった。」

いじめを受けたことを示唆する遺書が残されていました。

女性の娘が通っていたのは、福岡市内の私立高校です。生徒の自殺を受け、いじめに関する校内委員会を即座に立ち上げました。

およそ1か月後、学校側は「いじめはなかった」とする調査結果を遺族に伝えます。

その時の音声です。

■学校側
「何も出てこない中で、それをいじめと認定して、何か動いていくということはできない。」
■保護者
「何も出てこないのは、やっぱり遺書のことも全部何もおっしゃっていないので。さらっとした学校生活アンケートで終わって、その中でいじめがなかったという結論というところも、親としては納得できていないです。」
■学校側
「これからも心の傷の件のことを考えると、今、新しく調査や取り調べをする、そういったことはやれない。」

この調査結果は、生徒への定期的なアンケートと心のケアが目的のカウンセリング、その結果をもとにしていて、女性の娘が訴えた内容を詳しく調べたと言えるものではありませんでした。

10年前に成立した、いじめ防止対策推進法では、いじめの定義を被害を受けた子どもが「心身の苦痛を感じているもの」と明確にしました。

国のガイドラインでは、学校が生徒の自殺について「いじめの結果ではない」と考えたとしても、保護者から申し立てがあったときには、「いじめの重大事態」が発生したものとして調査にあたるよう定めています。

■母親
「何度もいじめの調査をしてほしいと伝えたけれど、これ以上やっても、結果は同じだとかいろんなことを言われて。私の中では学校に対する不信感がすごく強くなっていました。」

学校側はFBSの取材に対し、当初、いじめがあったか詳しく調査しなかった点について、「今いる生徒を守らないといけないので、生徒に負荷のかかる調査を避けたかった」と話しています。

しかし、ことし9月、生徒の自殺が報じられ、福岡県から対応の不備を指摘されると、一転して第三者委員会の設置を決めました。12月、初めての会合が開かれたばかりです。

■母親
「この遺書がある限りはもう、私ができる限りは真実を。娘が書いている通りに、調べて何があったのかをしっかり知りたい。」

■9月のニュース
「1年生の男子生徒が3人の上級生からチェーンで手足などを縛られ、暴行を受けた問題です。」
■11月のニュース
「1年生の女子生徒がいじめを受け、学校が加害生徒を指導した後にも暴行を受けて、ケガをしていたことが分かりました。」

福岡県内ではことし、いじめをめぐる学校の対応が多く問われました。「重大事態」への認定が遅れたり、被害にあった児童や保護者への聞き取りを行っていなかったり、不信感を抱かせるようなケースが相次いで発覚しています。

こうした事態を防ごうと、福岡県は対策に乗り出しました。ここは、11月に開設された「いじめレスキューセンター」です。

■福岡県こども未来課・宗 健一郎係長
「学校に相談したけれども、なかなか学校に思いが伝わらないそういったところで困ったケースがこちらに連絡が来る。調査の中身や加害児への対応に不満があるケースがあります。」

いじめレスキューセンターでは、弁護士や社会福祉士などの支援員が、保護者などからの相談に対応します。

相談を受けて学校に連絡したり実際に訪問したりして、学校や教育委員会とは異なる第三者的な立場からいじめの早期解決を目指します。先月1日の開設から1か月間で寄せられた相談は180件です。

早速、センターの働きかけで、学校が動いたケースもあります。このケースでは、学校は当初、いじめではなく単なる友人どうしのトラブルと捉えていましたが、センターが保護者から相談を受けた内容は、より深刻なものでした。

センターが学校に調査を求めると、学校はその後「いじめの重大事態」に認定し、第三者による調査が行われることになったということです。

■ 宗 係長
「なかなかいじめの解消が簡単にできるものではないと感じているので、粘り強く、学校とも連携しながらやっていく必要があると思っています。」

少しでも早くいじめを解決し、子どもたちの命を守るため、レスキューセンターは走り始めたばかりです。

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