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【能登半島地震】FBS記者の現地取材報告 生活再建を阻む「断水の長期化」完全復旧は4月以降か

2024年1月23日 19:45
【能登半島地震】FBS記者の現地取材報告 生活再建を阻む「断水の長期化」完全復旧は4月以降か
FBS記者の現地取材報告
元日に起きた能登半島地震の被災地を取材した西山記者がお伝えします。

■西山聡記者
私は21日までの1週間あまりにわたって、現地を取材してきました。見えてきたのは、巨大な揺れがもたらした断水の長期化による問題です。

■西山記者
「こちらには道の駅がありますが、臨時休館という紙が貼られています。さらにその横、応急危険度判定の結果“要注意”と記されています。」

石川県志賀町にある道の駅、とぎ海街道です。地震が起きた元日、店は通常より早く午後3時に営業を終え、店長の蟹屋敷みどりさんは別の従業員と2人で、閉店作業をしていました。

この日、志賀町は震度7の揺れに襲われました。停電したのか、ここで映像が止まり、再び動きだした映像には、床に散乱した商品や大きく位置がズレた商品棚が記録されていました。

■道の駅とぎ海街道・蟹屋敷みどり店長
「この大きな冷凍庫も今は起こしているが、倒れた状態で破損しました。」

厨房の床は、割れた食器で埋め尽くされていました。

■蟹屋敷店長
「この辺は全部、棚にきれいに、お酒もあったのですが、ほとんど上から落ちて割れて、ワインとかいろいろ破損状態がすごくて。」

取材した16日には店内の片付けは進んでいましたが、営業再開を阻む大きな壁があります。

■蟹屋敷店長
「今はライフラインの、特に水の回復を願っています。」

断水です。石川県内では23日午後2時の時点で、4万6100戸の断水が続いています。

石川県志賀町の北部に位置する笹波地区の区長、髙平英紀さん(68)の自宅は、家財道具が倒れたり壁が崩れたりするなどの被害を受けていました。

髙平さんによりますと、94世帯が暮らすこの地区では、半数以上の5,60世帯が避難所、または親族の家に身を寄せていると話します。

■笹波地区・髙平英紀 区長(68)
「水が出ないので生活できないし、この地区は給水がない。」

笹波地区の最寄りの給水所は、直線距離でおよそ7キロ離れた公共施設です。髙平さんは車で毎日、給水所に水をくみに行き、生活用水を確保しています。

しかし、笹波地区には移動手段を持たない高齢者も多く、電気が通っていたとしても水を確保できないため、自宅を離れている人が多いといいます。

■髙平 区長
「まずもって水の確保を何とかしてほしいということ。これが一番です。」

すでに地震発生から3週間以上が経過する中、断水が続いている原因は、水を送るための配管が広い範囲で被害を受けたためです。

■西山記者
「雪が降る中、破損した送水管を切断する作業が行われています。」

石川県輪島市門前町では、浄水場近くにある市内の広い範囲へと上水を運ぶ太い送水管が破損しました。

この送水管は1月15日に復旧しましたが、その先の配管にも多くの損傷がある可能性があり、完全復旧には至っていません。

石川県は21日、水道復旧時期の見通しについて、2月末から遅い地域では4月以降になる見込みだと明らかにしました。

生活に不可欠な水道の復旧の遅れは、復興を阻む大きな壁となっています。

■松井礼明アナウンサー
「断水の話がありましたが、なぜ復旧に時間がかかっているのでしょう。」

■西山記者
被害の範囲が非常に広いため、行政側も、どの配管が破損しているか把握できていない状況です。通常は浄水場の近くから徐々に水を流す範囲を広げて、その都度、漏れがないかを調べ、最終的に各家庭で水が出るようになるのですが、ただ、これは上水に限っての話で、下水道も上水道と同様、広い範囲で被害を受けているので、下水道配管の調査も並行して行う必要があり、復旧に時間がかかると見られています。

■松井アナウンサー
「多くの倒壊家屋があります。その撤去作業はどう進むのでしょうか。」

■西山記者
例えば石川県珠洲市では、およそ6000棟の建物のうち4割が全壊したとみられています。また輪島市や能登町などほかの自治体でも、多くの建物が全壊したり、大きなダメージを受けたりしている状況です。

ただ、まだ道路の復旧が不十分なほか、二次避難で金沢市などに移っている人も多く、今のところ見た限りでは、撤去に向けた動きというのはありませんでした。

さらに今後、大量に出るとみられる災害廃棄物の輸送にも課題があります。能登半島は南北に長く、また主要な道路も多くありません。

道路状況がよくなったとしても、スムーズに輸送できるのか、また今後、一般のボランティアを受け入れるとなると車両が増えますし、課題は山積しているという印象を受けました。

■今村敦子さん
「被災者からはどんな声が聞けましたか。」

■西山記者
繰り返しになりますが、やはり水です。これは私が取材したわけではないのですが、水が出た瞬間に涙を流す高齢のご夫婦の表情が非常に印象的でした。このように普段、当たり前のことが当たり前でなくなっているのが被災地だと思います。ただ前を向いていこうという声も聞かれました。