「ベテラン層の処遇向上をスタート」思い切った賃上げで優秀人材確保 福島
続く物価高や人材獲得競争が激化する中で、初任給の引き上げなど企業の間で今、賃上げの動きが広がっています。県内の銀行でも思い切った賃上げで優秀な人材を確保する取り組みを進めています。
人手不足を背景に学生の売り手市場が続く就職戦線。加えて、食料品や日用品をはじめとする様々なモノの値段が上がる中、ここ数年、企業などで相次いでいるのが「初任給」の引き上げです。ユニクロを展開するファーストリテイリングは初任給を月25万5千円から30万円に引き上げ。採用競争が特に激しい金融業界ではメガバンク3行が初任給を5万円程度、相次いで引き上げます。こうした動きは県内でも広がっていて、地方銀行3行でも今後、引き上げを予定しています。このうち福島市に本店を置く、東邦銀行では人材の獲得競争が激化する中で、初任給の引き上げに加えてある思い切った「賃上げ」を実施することにしました。
■東邦銀行 遠藤幸喜 人事部長
「10月から(55歳以上の)ベテラン層の処遇向上をスタートさせている」
それが55歳以上のベテラン行員を対象とした賃上げです。年収ベースで平均10・7パーセント引き上げます。5年後には55歳以上の行員が全体の3割を占めると試算している東邦銀行。ベテラン行員が高いモチベーションで働ける環境を今から作っておくことで人材の確保と定着を図っていく狙いがあります。今回、賃上げの対象となる行員からは…
■本店営業部 笹川栄一(57)上席副部長
「55歳以上の行員であっても注目を浴びて戦力として見てくれている気がしてありがたいと思った」
東邦銀行は2030年までにおよそ35億円を投資し、人材の確保や育成を積極的に進めていく方針です。
■東邦銀行 遠藤幸喜 人事部長
「当行の従業員に対する継続的な投資が社会全体に広がっていって、それが結果として地域社会の盛り上がりとかに繋がるとすれば多少なりとも意義はあると考えている」
人材の獲得競争が激化する中で、県内の企業でも賃上げの動きが広がっていくのか、注目されます。
第一生命経済研究所の藤代宏一さんによりますと企業は初任給のアップなどで人材確保に努めていますが、今回の東邦銀行のような55歳以上のベテラン社員を対象とした人事対策は全国的にも珍しいそうです。深刻な人手不足が続く中で、賃上げや福利厚生の充実で、いかに人材を確保するか、今後も企業の取り組みに注目が集まりそうです。