【特集】G7広島サミットから1年 「ふるさと」の証しが問う
広島テレビは、サミット開催から1年となる5月19日(日)にイベントを開催します。
貴重な被爆資料や被爆前の日常をカラー化した写真などを展示します。それらは首脳たちが訪れた場所にあった、人々の「ふるさと」の証です。
●今中圭介さん
「あっ、待てよ?これは僕のクラスだね…?これじゃ!ここ」。
今中圭介さん、88歳です。原爆投下前の白黒写真がカラー化され、自らの姿を見つけました。
●今中圭介さん
「白黒の写真の時に、自分が写っとると思わんかったなあ」。
2023年、首脳たちが歩みを進めた平和公園。かつて今中さんが生まれ育った家がありました。
●今中圭介さん
「そうですね、このあたりですね」。
原爆資料館の本館があるあたりです。人々の日常がありました。平和公園一帯は中島地区と呼ばれ、広島一の繁華街でした。
今中さんは、原爆投下の4か月前に疎開して無事でした。しかし、広島市中心部で働いていた8つ年上の姉は亡くなりました。
●今中圭介さん
「思い出の場所でもあるし、思い出すのが辛い場所でもあります。」
過去の記憶を語ることはありませんでした。しかし、転機が訪れます。発掘調査で見つかった自らの「硯」です。
●硯を見て話す今中さん
「これ僕の彫った文字ですよ」。
さらに背中を押したのが、被爆前の日常の写真をカラー化する「記憶の解凍」という取り組みです。「記憶の色」が蘇ります。
●今中圭介さん
「この資料館あたり、できる限り近づかんように、今までしとったわけよ。でも、こうして引っ張り出されると、なんか責任を感じて。これからも役に立つならやらなきゃなって思うね。」
今中さんや人々の「ふるさと」に集った首脳たち。核なき世界へ…。1年前の光景は鮮明です。
●今中圭介さん
「(世界の)リーダーたちが集まって心を一つにしたというのは、広島はたくさんの人が亡くなっているけれど、世界に平和を伝えていく力になっているんじゃないかという気がしましたね」
被爆地での歴史的なサミットからまもなく1年。
かつて広島で「生きた」人たちが残したものは、次の世代にどう「生かされる」のか。問いかけています。
(2024年5月16日放送)