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「平和への誓い」読み上げた広島の小学生 曽祖父は長崎で被爆 世界へ訴える思い

2024年8月7日 19:16
「平和への誓い」読み上げた広島の小学生 曽祖父は長崎で被爆 世界へ訴える思い

広島の平和記念式典で「平和への誓い」を読み上げた小学生は、長崎で被爆した曽祖父への思いを胸に臨みました。

「世界を変える平和への一歩を今、踏み出します。」

8月6日、広島市で開かれた平和記念式典には、各国の代表をはじめ、およそ5万人が参列しました。

こども代表の一人として「平和への誓い」を読み上げたのは、小学6年の加藤晶さんです。加藤さんは、両親と姉の4人家族です。4歳の時、父親の転勤で広島に移り住みました。2024年、ある一言で平和への思いが強くなったと言います。

■加藤晶さん
「父から『そういえば、曾祖父は入市被爆者だよ』と聞いて『祖母に詳しく聞いてみたら』と言われたので。身近にそんな人がいるのは知らなかったので。」

曾祖父は、現在の長崎県島原市に住んでいました。79年前、原爆投下の1週間後に、姉家族を探し入市被爆。57歳で亡くなりました。曾祖父のことは、話でしか聞いたことはありませんでした。

■加藤晶さん
「自分が伝えていかないとな、という使命は感じました。」

加藤さんは、すぐに長崎の祖母に話を聞き、曾祖父の被爆体験を作文にまとめました。

子どもたちが平和への思いを伝える発表会。集まったのは、広島市内の小学6年生1万人以上の中から審査を通過した20人です。加藤さんも選ばれ、作文を発表しました。

■加藤晶さん
「あの日にあったことを決して忘れず、平和の尊さを伝え続けていきましょう。」

加藤さんは大賞を受賞し、「平和への誓い」を読み上げる大役を務めることになりました。

■加藤晶さん
「平和とは一人では実現できないものだけど、協力し合ってお互いを支え合って、平和を実現できるということを伝えていきたいと思います。」

7月、加藤さんは島原市に住む祖母を訪ねました。曾祖父に「こども代表」に選ばれたことを報告をするためです。そこで、親戚が詳しい話を聞かせてくれました。

■大叔母・寺田久代さん
「父さんにしたら、自分の姉さん親子をなんとか見つけたいという一心だから、歩き回っとったと思うよ。でも、姿も家の跡も何もなくて、おったであろうという家の跡から、石ころを拾って持って帰って来て、お参りしていた。」

翌日、初めて長崎の平和公園を訪れた加藤さん。曾祖父が2つの被爆地をつないでくれました。

■加藤晶さん
「曾祖父にも会ったことないし、見たこともないので存在したという、曾祖父がここにたしかにいたという痕跡が実感できました。長崎のひとたちの思いもしっかりくみ取って、伝えられると思うので(来て)よかったです。」

広島・原爆の日。式典が始まる2時間前に、加藤さんの姿がありました。

Q昨日はよく眠れましたか?
■加藤晶さん
「いや、あまり。緊張して眠れなかったです。」

Qどんなこと伝えたいですか?
■加藤晶さん
「年々被爆者の方が減ってきているので、伝え続けないといけないということを伝えたいです。」

■加藤晶さん
「原子爆弾は、色鮮やかな日常を奪い、広島を灰色の世界へと変えてしまったのです。」
■石丸優斗さん
「色鮮やかな日常を守り、平和をつくっていくのは私たちです。」
■加藤晶さん
「一人一人が相手の話をよく聞くこと。仲間と協力し、一つのことを成し遂げること。私たちにもできる平和への一歩です。」

■加藤晶さん
「ほっとしました。天国にいるひいおじいちゃんにも、しっかりと伝わってほしいという思いで伝えました。」

Q曾祖父に伝わったかな?
■加藤晶さん
「伝わったと思います。」

長崎で被爆した曾祖父への思いも込めて、広島から世界へ発信した「平和への誓い」。2つの被爆地の願いを、12歳がつないでいきます。

【2024年8月7日 放送】