財政がピンチ!財政危機に陥った背景と影響とは 広島・府中市
住民サービスに直結する自治体の財政についてです。県東部の府中市では貯金がなくなる事態となっており、事業の見直しを余儀なくされています。なぜ財政危機に陥ったのか、背景と影響を取材しました。
100歳の高齢者への祝い金を廃止。路線バスを維持するための補助金も減額。さらに、庁舎の電気や電話代も削減を目指します。
県東部に位置し、人口3万4千人余りの府中市。いま、この町の財政が危機的状況に陥っています。
■市民
「要するに現状維持であって、市としては発展性は望まないという現れですかね」
■市民
「期待感を抱けなかった。自分としては(府中市の将来が)心配」
19日に開かれた会見で小野市長は…。
■府中市 小野申人市長
「政策実現ための積極投資、職員人件費の増加、大型投資事業の実施による公債費の増加などにより、令和8年度には財政調整基金が枯渇する見込みとなった」
基金=つまり貯金がなくなる事態です。市は近年、文化センターの耐震工事などのハード面の整備に力を入れ、今年度の一般会計当初予算は過去最高に。毎年、予算を組むうえで、本来は災害など緊急時に使うための貯金=「財政調整基金」を切り崩していました。市が基金の残高を調べたところ、約2年後には枯渇することが判明したのです。
いざという時の貯金がなくなる。市民生活にどのような影響を与えるのでしょうか。
■福山市立大学 都市経営学部 金淳植 教授
「今まで無料だったものを使用料を請求して、少しその分を市民の負担として受け取るとか。学校の校舎の建て替えをするとかいうこともおそらく後回しになる」
市は基金を確保するため、合計300件の事業や補助金を見直しました。そして、うち53件を廃止。140件の費用を減額することにしました。その結果、来年度は基金を取り崩さず、当初予算案は、2024年度より約13%減らし乗り切る算段です。
■府中市 小野申人市長
「限られた予算の中でも市民生活やサービスを決して落とさない形で、職員一丸となって取り組んでいきたい」
しかし、住民サービスへの影響も。介護車両の運行は廃止に。路線バスを維持するための補助金も減額。市民に不安が広がります。
■バスの利用者
「(バスの便が)少なくなるのは仕方がないけど、全然なくなるのは困る」
市が描く将来はこうです。さらなる事業の見直しなどに取り組み「基金」を積み立て、2029年度には約24億円の確保を目指します。19日開かれた住民説明会。現在の状況や今後の見通しを説明した市に対し、市民からは不安視する声が上がりました。
■市民
「削る削るとかいうことだけになっているが、本当にそれで将来、ここに書かれているプラン通りできるのか」
県内のほかの市町でも同様の財政危機に陥る可能性はあるのでしょうか。
■福山市立大学 都市経営学部 金淳植 教授
「まだその危険性に陥ることはたぶんないと思う。赤字が予想されるようであれば、4~5年とかちょっと前から用意する必要は基本的にはあるかと思う」
町づくりと財政健全化をいかに両立させるのか。慎重な舵取りが求められています。
(2025年2月20日放送)