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高校生たちが地元のお社再建に挑む この場所を未来へつないでいけるように【徳島】

2024年3月15日 21:42
高校生たちが地元のお社再建に挑む この場所を未来へつないでいけるように【徳島】
徳島阿波市吉野町にある大野神古墳お社が壊れたまま、長い間放置されていました。

そんな様子を見て立ち上がったのが、地元を中心とした県内の高校生たちです。

高校生たちによる、お社再建の様子を追いました。



阿波市吉野町「大野神古墳」。

農業と疫病退散の神様が石碑に祀られ、古くから地域の人々の信仰を集めてきました。かつてはこの石碑を守る社殿、いわゆるお社がありましたが、2022年9月の台風でボロボロに。

石碑は野ざらしになっていました。

お社を再建しようと、地元・阿波高校の生徒3人が立ち上がりました。

こうして2023年9月から『未来につなぐお社再建プロジェクト』の活動が始まりました。

(リーダー 長井健之郎さん(阿波高2年))
「歴史的な建物を見るんも、僕すごく好きだったし、すごく悲しい気持ちになった。壊れたままだと地域の人たちに忘れ去らされてしまうので、自分の力で建てなおしたいと思った」

3人に賛同した川島高校城ノ内高校の生徒も仲間に加わり、メンバーは全部で10人に。

修繕費用クラウドファンディングで集めようと、チラシやラジオで呼び掛けた結果、何と目標金額を上回る80万円あまりが集まりました。

(折野侑志さん(阿波高2年))
「シンプルに嬉しかったです。自分たちが頑張ってたのが、他の人に認められた感じがした。くれた思いを実現していこうかなという、決意みたいなものはできました」

返礼品としてステッカーも手作りしました。

(阿部百花さん(阿波高1年)
「自分で牛の資料とかも見て、こんな感じにしたら可愛いかなと思いながら(デザインしました)」

この日は、支援してくれた人へ感謝を伝える動画の制作について相談していました。

「忙しいかもしれんけど撮ってもらって、阿部さん経由で俺に送ってくれたら頑張るけん」「分かりました」
「城ノ内の方もお願いしていい?」「分かりました」「いける?」

そして、いよいよお社再建へ。

お社の再建は、徳島市の宮大工さんにお願いしました。

プロジェクトのメンバーも、その制作工程を見学にやってきました。

(宮大工 切中俊裕さん)
「生徒たちが協力し合って、クラウドファンディングでお金集めたっていうのをお聞きして、これはどないかして自分の力を発揮できたらなと」

再建にかけた思いと苦労が、目の前で形になっていきます。

「すごい」

神聖なお社は、専門の知識と熟練の技を持つ宮大工にしか建てられません。

高校生たち、かんなの使い方を教えてもらいますが…。

「引っ張ってみ」
「めっちゃむずい むずい」

(リーダー 長井健之郎さん(阿波高2年))
「完成まで長い間、頑張ってきたっていうのもあってちょっと名残惜しさもあるんですけど、一つの目標が達成できるので嬉しいです」

夢にまで見たお社再建の日は、もうすぐそこまで来ていました。

活動を始めてから約半年。

3月7日、いよいよお社設置の日がやってきました。

出来上がったお社は国産のヒノキを使い、高さ2.7m、重量は700kgを超えています。

これをクレーンで高く吊り下げ、慎重に石碑まで運んでいきます。

「ゆっくり」
「ちょっと下ろそう」
「よう見て入った」
「うち入った」

(宮大工 切中俊裕さん)
「昔建っていた建物見ましたけど、それ以上のものができたんじゃないかなって思っていますけど」

こうして、1年7か月ぶりに石碑を守るお社が設置されました。

高校生たちの、そして彼らの情熱に共感した多くの人たちの思いが結実した瞬間でした。

2日後、設置の日には試験のため来られなかったプロジェクトのメンバーが、ようやくお社に集まりました。

こうして、この場所に立つお社を見るのは初めてのことでした。

(リーダー 長井健之郎さん(阿波高2年))
「なんかこう、すごいきれいで、本当にこの活動やっててよかったなって思います」

「あれ模様じゃなくて彫っている、きれい」
「めっちゃ本格的よな、すごい」

かつて多くの人に愛されたこの場所を忘れないでほしい、そんな思いからプロジェクトはスタートしました。

でも、終わりじゃない、また新たな始まりです。

(リーダー 長井健之郎さん(阿波高2年))
「かつてはお百姓さんたちがここで宴を行っていたという歴史があるので、お社の周りの掃除をして地域の人が集まれるようになる、こういう場所が吉野町にあったんだよと伝えていけるような場所になればいいと思う」

若い情熱が人々の心を動かし、新たな歴史が生まれました。

この場所を百年先、その先の未来もずっと繋いで行けますように。

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