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なぜダメなのか? 藍住町は子どもたちの居場所「子ども食堂」のチラシ配布やポスター掲示許可せず【徳島】

2024年9月11日 20:00
なぜダメなのか? 藍住町は子どもたちの居場所「子ども食堂」のチラシ配布やポスター掲示許可せず【徳島】
子どもたちの居場所として、今やすっかり市民権を得た「子ども食堂」。

しかし徳島藍住町では、小中学校や児童館での子ども食堂のチラシ配布やポスター掲示が許可されないというのです。

一体どうしてなのでしょうか?

四国放送小喜多雅明記者の取材です。



月に一度、徳島県藍住町で子ども食堂「あいちゃん」を運営している林美保さん。

もともと幼稚園に勤務していたという林さん、子どもの笑顔が見たいと、3年前から子ども食堂を始めました。

藍住町内には、8つの子ども食堂があります。

林さんは町内や近辺で開催される子ども食堂のスケジュールが書き込まれたカレンダーを、共同で製作しました。

そしてこのカレンダーを町内の小中学校や児童館に掲示したり、チラシにして配ろうとしました。

7月のカレンダーは小中学校で配布することができたのですが、8月のカレンダー配布を町に依頼したところ、町から8月のカレンダーからはもう配布しないでくださいと言われたそうです。

しかも、はっきりした理由は言われず、とにかく町がこのように決めましたというような返事だったとのことです。

その理由について、四国放送が藍住町役場を取材しました。

(藍住町 河原英治副町長)
「子ども食堂に限ってということではない。藍住町は人口も多く、色んな団体がいる中で公共の施設に掲示するものは一定のルールを作っている。町が後援していたりとか、共催をしている事業は掲示するが、それ以外のところはお断りをしているので、その関係で今は回断った」

ほかの子ども食堂を運営する関係者も、その理由にあきれるばかりです。

別の子ども食堂を運営する前田洋子さんは、「心が狭いなと。町の方も当然協力的であろうと思っていたのに、ポスターすらだめですよというのはショックでした」と、話しています。

子どもの居場所としての子ども食堂は、「子ども真ん中社会」という、れっきとした国の施策の一環です。

林さんたちの子ども食堂も、徳島県の登録を受け、円滑な運営のための講習にも参加しています。

しかし、取材に応じた藍住町の河原英治副町長は、「実際(子ども食堂を)運営されている方への懸念というか、衛生面であったりとか、どういう環境体制でやられているのかというところが、ちょっと分かっていないのもある、その辺がちょっと懸念だ」と、話していました。

子ども食堂の運営には、様々な要件があります。

特に食中毒対策には重点が置かれていて、例えば食品衛生者を置くことや、食品衛生法などを遵守することが求められています。

藍住町内の8つの子ども食堂に確認したところ、全てがその要件を満たして運営していることが分かりました。

では、こうした懸念が払しょくされたら、藍住町は子ども食堂を後援し、カレンダーの配布や掲示を許可してくれるのでしょうか?

河原副町長は、「町として後援できるのかという判断、後援できるということになれば後援申請を出してもらい、やり方としてそういう後援をできるかどうかの説明をしてもらうというのが、次の一歩かな」と、話します。

記者から、「説明不足ではないか?」との質問を受けると、「おそらく一定のルールというところで説明して、そこで止まっていたという面はあるのかもしれない。確かに行政の立場として、もう少し説明があっても良かったのかもしれない」と、述べました。

一方、四国放送の記者から、このカレンダーを作った思いを聞かれた林さんは...

(子ども食堂「あいちゃん」運営 林美保さん)
「やはり一人でも多くの子どもに、保護者の方に、こういった情報を伝えたいという気持ちがある。やはり多くの町民の目に触れる機会を作るのが、私たちの思いだ」

藍住町側はそれを「ルール」だと言います。

でもそのルール、子どもたちのために少しだけ、使い方を変えてみませんか?

その少しのことで、もしかしたら救われる人たちがいるかもしれません。



取材に対応してくれた藍住町の河原副町長から、放送日の9月11日に四国放送に連絡がありました。

河原副町長によりますと、その後、徳島県のホームページに記載された子ども食堂に関しては衛生上の懸念はないと判断し、現在はカレンダーの配付ができるよう検討しているということです。

今回のことをきっかけに、藍住町には子どもの居場所づくりに積極的に取り組んでもらいたいと思います。

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