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患者らは...「高額療養費制度」の自己負担額の上限引き上げを国が検討【徳島】

2025年2月14日 18:45
患者らは...「高額療養費制度」の自己負担額の上限引き上げを国が検討【徳島】
国は医療費が高額になった際、患者の負担を抑える「高額療養費制度」について、自己負担額上限引き上げを検討しています。

徳島県内のがん患者で作る団体に、話を聞きました。



がん患者団体ガンフレンド 岩崎義久代表)
「今のところは再発転移はしていないが、もし万が一なった場合、おそらく断念するしかない。医療費が払えなかったら、治療できないですから」

こう語るのは、徳島県内のがん患者で作る団体の代表・岩崎義久さん(73歳)です。

岩崎さんは、56歳の時に悪性リンパ腫を発症しました。

以来17年間、闘病生活を続ける岩崎さんにとって、経済的負担はずっと大きな悩みの一つでした。

(がん患者団体ガンフレンド 岩崎義久代表)
「初めて(治療費)見た時、60万円くらいだった。(Q.3割負担で60万円?)抗がん剤が、ちょうどその時7万円くらいだった、1回で。(Q.高額療養費制度がなかったら?)とてもとても払えない」

「高額療養費制度」とは、窓口で払う医療費が、収入に応じて設定された上限を超えた場合に差額が給付される仕組みです。

例えば、年収510万円の人を例にすると、医療費が月100万円かかった場合、窓口負担はその3割の30万円です。

すると、現行の制度では21万円あまりの払い戻しが受けられ、自己負担は9万円弱です。

この制度を利用して払い戻しを受けている人は、年間1000万人以上いると言われています。

しかし、先進医療の導入で医療費が高額となる中、国は現役世代の負担軽減を理由に自己負担の上限額引き上げを検討しています。

厚生労働省によりますと、先ほどの年収510万円の人のケースでは、2025年8月以降、自己負担の上限は7830円増え9万5000円あまりに、2027年8月からは今より3万2190円増え12万円弱になります。

川崎陽二さん(66歳)は、13年前の前立腺がん発症当時、医療費の支払いに苦労しました。

(がん患者団体ガンフレンド 川崎陽二副代表)
「その時、がん治療薬が3割負担で、1錠5000円だった。(Q.1日に何錠飲むんですか?)4錠です。(Q.1日2万円必要ですね)そうです。だから、病院代だけでなく、その薬だけで(高額療養費の)毎月のように上限までいっていたので助かりましたが、お金を捻出するのが大変だった」

がん患者団体などの反発を受け、国は長期での治療が必要な患者の負担軽減を盛り込んだ修正案を検討していますが。

(がん患者団体ガンフレンド 川崎陽二副代表)
「がん患者とか高齢者は別にどうでもいいとか、死んでもいいというような国策というか...今のままなら、なんとかしがみついていかれるのになと」

(がん患者団体ガンフレンド 岩崎義久代表)
「一番はやはり、家族に負担かけたくなくない、ほんまね。(上限額が上がったら)治療は断念するだろうと思う」

小喜多雅明記者
「医療費が高額となった場合に、いわばセーフティーネットの役割を果たすこの制度。自分や家族や友人がいつこの制度を利用することになるか分かりません。安心してすべての人が医療を受けられるよう、制度の改正をする前に多くの患者の声に耳を傾けて欲しいと思います」
最終更新日:2025年2月14日 20:55

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