【なぜ?】熊本のガソリンは九州で一番安い 小売価格は九州平均を5円近く下回る
車に乗る人が気になるガソリンの価格。実は一年弱の期間、熊本はレギュラーガソリンの価格が九州で一番安いんです。なぜなのでしょうか?
熊本市内に10店舗を展開する肥後石油。22日、東区の店舗では、レギュラーガソリンの価格が現金会員で1リットルあたり165円でした。
Q車はよく使いますか?
■給油しに来た人
「家が大学から遠いので。ガソリンの価格があんまり高くなると…」
実は、熊本のレギュラーガソリンの小売価格は、去年6月以降、1年近く九州一の安さを誇っています。経済産業省が22日に公表したレギュラーガソリンの平均小売価格は、九州地方の平均が1リットルあたり178.1円に対して、熊本の平均は173.8円。平均より5円近く安くなっています。
一方で、ガソリンスタンドなどの販売業者が仕入れをする卸価格をみると、熊本の平均は140.1円と九州全体の平均140.4円とほぼ差がありません。その背景には、熊本の厳しい価格競争があるといいます。
■肥後石油 小山浩一郎社長
「大手の安売りをする店も出てきているので、どうしてもそれに対抗して売っていくので、私たちの価格も安くなる」
肥後石油によりますと、熊本県内にはセルフ形式で人件費を抑えるなどして安さを売りにしたガソリンスタンドが目立つといいます。その価格に対抗しようと、他のガソリンスタンドも価格を上げにくいとのことです。
こちらの会社では、レギュラーガソリンの販売価格のうち90%以上は仕入れ代。人件費や光熱費などを除くと、利益は価格の0.5パーセントほどしか残りません。厳しい価格競争の中で、スタッフによる「フルサービス」に力を入れ、差別化を目指しています。
■肥後石油 小山浩一郎社長
「熊本市内に10か所店舗があるが、あまり異動をさせないので社員が定着し、近所のお客さんを連れてきたりするので、そういうところで利益を出していると思う」
お財布事情に直結するガソリンの価格。企業の努力が続く中、今後はどうなるのでしょうか?
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
1円でも2円でも安ければ、他のガソリンスタンドに行ってしまう。厳しい価格競争が熊本にはあるんですね。
(畑中香保里キャスター)
取材した肥後石油では、スタッフのサービスで差別化を図っていました。ただ、個人で経営するガソリンスタンドは事情が違います。天草市でガソリンスタンドを営む村上輝眞さんは、「価格を維持するために利益を削っている」と現状を話してくださいました。
(緒方キャスター)
一方で、今は政府の補助金によって価格を抑えている状態なんですよね?
(畑中キャスター)
そうなんです。青色の線が、政府が補助をした後のレギュラーガソリンの小売価格の全国平均の推移です。赤色の線は、補助が行われなかった場合に想定される価格です。
(緒方キャスター)
政府の補助がないと、1月以降は190円台になっていますね。
(畑中キャスター)
今より20円ほど高いことになりますね。国際的に原油価格の高止まりが続いていますから、政府の補助金政策がいつまで続くのかも焦点です。
(緒方キャスター)
九州で一番価格が安いことは生活に助かりますが、利益を切り詰める企業の努力があることを胸に留めていたいですね。