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【徹底解説】103万円だけでない「年収の壁」 引き上げで手取りはどうなる

2024年11月22日 18:53
【徹底解説】103万円だけでない「年収の壁」 引き上げで手取りはどうなる
「103万円の壁」引き上げられたら…
政府は22日、新たな経済対策を閣議決定しました。この中では、焦点となっていた、いわゆる「年収103万円の壁」について、年末までに策定する来年度の税制改正の中で「議論し、引き上げる」と明記されています。この103万円も含めた「年収の壁」について、専門家に徹底解説してもらいました。

まずは、103万円の壁について熊本県民の声を聞きました。
【VTR】

■大学生20歳(ドラッグストアでアルバイト)
Qどれくらい働いている?
「週4日ですね。減らしてるんですよ、もらいすぎちゃうから。5時間じゃなくて3時間の日とかも何日かある」
Qどれくらいに上げてほしい?
「150万円とかですかね。上がるにこしたことはない」

■大学生24歳(コンビニ・飲食店でアルバイト)
「月に8万5000円に制限して働いているので、シフトの調整などに苦労することはある。今、ちょうど超えそうなので、バイト先の店長などに調整してもらっている」

収入が増えて扶養を外れた人からは…。
■派遣社員30代(数年前に夫の扶養から外れる)
「扶養に戻りたいですね。(控除額を)引き上げてくれるなら、手取りが増えるならそっちのほうがいいな」
Q増えたら何に使いたい?
「子どものやりたいことに使いたいのと、食べ物(の値段)も上がっているので、いいお肉とか野菜とか、おいしい食べ物をみんなに食べさせてあげたい」

一方、雇用する店側の受け止めは。

■ドラッグストア店長
Q103万円の壁感じたことは?
「やっぱありますね、年末になってくると、顕著に感じました。シフトで入ってほしい時に入ってもらえないということがあったので、早い段階から調節はしていた。働く意思がたくさんある方が多いと思うので、力を地域発展のために使ったらいいのでは」

国税局で20年以上の勤務経験を持つ税理士の岡本良介さんに聞きました。
(緒方太郎キャスター)
「103万円の壁とよく言われてますけど、そもそも103万円ってどういうことでしょうか?」

(岡本良介税理士)
「所得税の控除の仕組みの話からします。まず基礎控除です。基本的には誰にでもある控除が48万円。サラリーマンの必要必要経費の最低限の控除が55万円、これを足した金額が103万円ということになっております。 基本的にはこの103万を超えると所得税等が発生します」

税金がかからない上限の「103万円の壁」。引き上げることで、私たちの「手取り」を増やす政府の経済対策ですが、実際の手取りを計算するには、「年収の壁」にも目を向けなければいけません。

サラリーマンの夫と妻、子どもの家族で見ていきます。
親が子を扶養する時、子どもの年収が103万円を超えると所得税などの負担が約10万円発生します。これが学生の働き控えにつながっているといわれます。

一方、配偶者控除の壁は年収150万円。この金額までは満額で控除を受けられますが、超えると減っていきます。

そして、岡本さんが最も注目してほしいというのが、従業員の数で変わる「社会保険料の壁」です。従業員数が51人以上の企業などは106万円以上で社会保険料の支払い義務が生じます。130万円以上になると従業員数に関わらず社会保険料の支払い義務が生じます。これには国民保険料も含まれます。

(岡本良介税理士)
「(従業員数50人以下の企業の場合)130万円を超えますと、夫の方の所得税は変わらないですが、妻に社会保険の加入義務が生じます。 極端な例で言いますと、129万9999円まではOKですが、130万1円になった時に社会保険の加入義務が生じて、手取り額で17万円ほど減少することになります」

103万円の壁の引き上げに伴い、厚生労働省は106万円の社会保険料の壁を撤廃する検討をすすめています。

(緒方太郎キャスター)
「103万円の所得税の壁が引き上げになっても、106万円の壁が取り払われてしまったら私たち生活者の負担っていうのはどうなんでしょうか?」

(岡本良介税理士)
「社会保険料の負担が発生することになるので、逆に手取りが減るかもしれませんね。106万円の壁がもしも取り除かれたとすると、加入者は当然増えて、その方たちの社会保険料負担は 生じるんですけど、負担する分の2分の1を従業員、 2分の1は事業所で負担するということになっていますので、事業主の負担は相当重くなると思います」

ただ、岡本さんは「一定の経済効果は見込まれるのでは」と話します。
(緒方太郎キャスター)
「国民民主党が178万円と提案してますけど、引き上げられた場合、手取りはどれぐらい違ってくるのでしょうか?」

(岡本良介税理士)
「600万円の収入があるサラリーマンの場合でざっくり計算すると、妻がいて大学生の子どもがいるケースで、178万円まで引き上げた場合に税額で20万円弱ぐらいは手取りが増えます。税額が減るということです。経済の活性化にはある程度効果があると思います」

【スタジオ】
所得税がかかる年収103万円の壁が引き上げになったとしても、その先には、106万円と130万円の「社会保険料の壁」があります。働き方の縛りをほどくには、ここがポイントになってくるわけです。

一方で、熊本県は、年収103万円の壁が178万円に引き上げられた場合に、県全体の税収が485億円減るという試算を明らかにしています。

最終更新日:2024年11月28日 19:13
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