3歳の娘殺されネットの誹謗中傷に「死のうと思った」あれから14年 両親の胸の内
3月3日のひな祭りを迎える度に、苦しい思いをしている家族がいます。2011年3月3日、熊本市で3歳の娘を殺害された両親が命日を迎え、胸の内を語りました。
写真の中であどけない笑顔を見せる清水心(ここ)ちゃん。
命日を迎えた父の誠一郎さん(53)と母・真夕さん(52)です。
遺影の心ちゃんと、またひとつ年齢が開きました。
2011年3月4日。3歳だった心ちゃんは、熊本市北区の用水路で遺体で発見されました。前日3日の夜、近くのスーパーのトイレで心ちゃんを殺害し、用水路に遺棄したとして逮捕されたのは、当時大学生だった男。裁判で無期懲役の判決が確定しました。
家族で買い物中に1人でトイレに向かい、男に連れ込まれた心ちゃん。事件後、インターネットには1人でトイレに行かせた両親を責める投稿が相次ぎました。
■母・真夕さん
「娘を1人で天国にやるわけにはいかない。死のうと思ったこともあった」
娘を亡くした悲しみと自分たちを責める思いから、心中を図ろうと考えたこともあるという誠一郎さん。その後、同じ苦しみを味わってほしくないと、事件についての講演を続けてきました。一時は心を病んで、事件のことを話せない状態が続いていた真夕さんも、去年から講演活動を始めました。
事件がなければ、この春高校3年になっていた心ちゃん。
■母・真夕さん
「姿が見えなくなってしまってとても悲しいだけの時期もありましたが、年数が経っていくにつれ、無になるどころか心の存在は今でもとても大きく(なっている)」
■父・誠一郎さん
「今も家族の中には、しっかりとそれぞれの心の中に生き続けていると思いますし、それぞれがそれぞれの心の姿を描いていると思います」
変わらない笑顔に背中を押されながら、1歩ずつ進んできた14年です。
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
心ちゃんを失った苦しみを人前で伝え続けること自体苦しみを伴うことだと思いますが、そうしたご両親に心ない誹謗中傷の言葉が投げかけられる悲しい現実があります。しかし、講演を続ける中でお2人は変化も感じていました。
■母・真夕さん
「『講演聞いたことがありますけど、そういう人たちじゃないですよ』という(批判的な)コメントに擁護のコメントが来るっていうようなこともこの前あったんですよね。自分がこれ(批判的な意見)をもらったらどうだっていう基本的なところを(講演会で)子どもたちには伝えていきたい」
■父・誠一郎さん
「やっぱり人の命に関してどう考えるかっていうのをいま知ってほしい」
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
心ちゃんの存在を胸に抱きながら、お2人はこれからも多くの人に自分たちの経験を伝えていく考えです。